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2024.01.10

CROSS OVER - 我々はどこへ向かうのか -

日建設計・パシフィックコンサルタンツ共創

ますます複雑化する社会課題に対して、建築や土木、都市など業界の垣根を越えて、どのように取り組んでいくのか——。20年以上にわたり渋谷駅と周辺地域の一体的開発を共に進めている日建設計とパシフィックコンサルタンツは、ジャンルの違う専門家がクロスオーバーして未来のビジョンを語る研究会を行いました。

研究テーマは「デジタル」「カーボンニュートラル」そして「エアモビリティ」の3つ。建築設計、電気、河川、PFIなど、さまざまな専門性を持つ2社の技術者が混成するワーキンググループ(WG)にて、未来の都市ビジョンを描きました。未来をデザインすることで見えてくる課題を時間軸を超えてキャッチし、ビジョン・ドリブンで都市を描く試みです。

デジタル:2070は地球まるごとスキャン技術で、自然環境をマネジメントする

このWGでは、デジタル技術の進化による50年後の暮らしと、その都市を支える職業を構想します。
まず2070年には「地球まるごとスキャン」という技術開発が行われることを想定しています。地表面だけではなく、水中などもより高解像で、高頻度にスキャンすることで、地球環境を把握し、自然災害などの事前予測や対応が可能になった社会です。

それにより自然環境を高度にマネジメントしたり、豊かな都市を自然と合わせてデザインする職業が生まれます。
例えば、実施が難しいとされる川辺をつかったフェスなどのアクティビティを実施しやすくしたり、水上に浮かぶ展望台なども提案しています。またAIを搭載したインフラ「Thinking Infra」が誕生し、例えば気象予報とダムの水位などインフラ同士で情報共有することで、下流域にある川沿い公園などでの安全・安心の暮らしが可能になります。

カーボンニュートラル:公正な移行プロセスが生むWell-being

カーボンニュートラル(脱炭素)をテーマとしたWGでは、2050年に脱炭素を実現した都市像を構想します。ただし、脱炭素を目的化するだけでは豊かな都市ではなく、何かの犠牲の上に成り立つ社会になってしまうのではないか——。そのような疑問から、懸念点を抽出し、そのオルタナティブとなる「公正な移行」というプロセスに着目した考え方を示しました。

公正な移行のために、WGではキーワードを抽出。CO2を排出し続ける都市構造(ロックイン)の回避、建設のライフサイクル全体での脱炭素、再エネ導入など都市・地域連携、ネイチャーポジティブ、人間中心の社会の5つです。
それを元に描いた2050年の都市では、木質化した建築物、3Dプリンタを用いた建築技術や多機能性のあるグリーンインフラの整備などを提案しています。脱炭素の実現と並行して人間中心のWell-beingな都市を目指す視点を強調しました。

エアモビリティ:島国日本再興——地方の「ワクワク」する縮退

法改正も間近に迫り、近年着目されている「エアモビリティ」。このWGでは、中四国と九州に囲まれた周防灘を舞台に、地方における空飛ぶクルマの具体的なサービスの構想から、ワクワクをつくる縮退を構想します。

例えば、山口県の宇部を起点とする3つの離着陸場を整備した場合。1時間での移動範囲が大幅に拡大すると試算し、このサービスの有効性を示しました。

また、地上に比べ比較的航路計画が容易な海上を活用した浮島型離発着場を提案します。これは、桟橋などを建設するときに利用する水上フロートの技術を使ったものです。移動可能なため将来的なニーズの変動に対応でき、導入費用も抑えられる未来のインフラです。

さらに、空飛ぶクルマを社会実装することで、地域にもたらす3つの効果を示しました。
ひとつめは、観光産業の活性化です。これまでアクセスが悪いことで人が訪れなかった地域に新たなツーリズムが生まれます。次に、救急搬送が可能になるため健康・医療・防災にも役立ちます。

三つめは、持続可能なまちづくりへの貢献です。空飛ぶ航路の実装によって、地方都市を繋ぐ過剰なトンネルや橋梁などのインフラにかかる巨額の建設・維持管理費を縮小し、、自然と共生する世界を取り戻すために使うことができます。
日本には周防灘のような湾がたくさん存在します。今回の提案で近くて遠かった地方に眠る島国日本の魅力が再興されるとともに、子どもたち、孫たちが生きていく未来をワクワクで彩ることができるかもしれません。

まだない課題や技術を掘り起こす未来構想

3つのWGのアイデアをもとに、地球スキャン技術がもたらす将来の可能性、脱炭素やロックイン回避のための社会制度、魅力的に縮退する都市像など、さまざまな視点で各ワーキングが交流しながら研究を続けています。その中では、未来のエネルギーは電気ではなく光になるなどの新たな技術開発の可能性も共有されました。
土木のパシフィックコンサルタンツ、建築の日建設計の2社では、今後も共創を重ね、よりよい都市づくりのための提案を行っていきます。業界の境界をクロスオーバーすることで化学反応を起こし、新たな価値創造を目指します。

共創メンバー

① デジタル
パシフィックコンサルタンツ:北野貴士、吉武央気、澁谷宏樹、光安皓、瀬内月菜
日建設計:西勇、伊藤慎兵(NSRI)、土肥真梨子(NSRI)

② カーボンニュートラル
パシフィックコンサルタンツ:野村直人、酒本翔太、中川考介
日建設計:黒羽亮一、安達聡子(NSRI)、谷川あゆみ

③ エアモビリティ
パシフィックコンサルタンツ:水上敬介、黒崎実布由、河野健、藤原真梨子
日建設計:須賀博之、渡邉修一、瀬川明日奈、今枝秀二郎(NSRI)

※NSRI:日建設計総合研究所

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