2022.03.31
カーボンニュートラル時代を生きる企業のあり方
創立70周年記念特別企画ウェビナー
2021年12月16日、当社創立70周年記念特別企画として『カーボンニュートラル時代を生きる企業のあり方』ウェビナーを開催しました。当日は、約500名の方にご参加いただき、脱炭素時代のオピニオンリーダーである高村ゆかり氏(東京大学未来ビジョン研究センター教授)と日本を代表する格付会社である格付投資情報センターの小林茂氏(ESG推進室長)の基調講演に加え、パネルディスカッションを通じて、カーボンニュートラルをテーマに、企業として求められる取り組みについて考えて参りました。
今回は、高村ゆかり先生と小林茂様による基調講演内容のご紹介のほか、脱炭素経営「Pacific Net Zero」を宣言したパシフィックコンサルタンツグループによるプレゼンテーションの内容をお伝えいたします。
【基調講演1】カーボンニュートラルの潮流と求められる企業の対応
東京大学未来ビジョン研究センター 教授 高村ゆかり氏
2021年11月にイギリス・グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)に参加された高村先生からは、本基調講演でさまざまな事例を交えて脱炭素化に向けた社会のうごき、気候変動政策についてご紹介いただきました。また、企業に求められる異なる時間軸の二つの具体的な行動について提言されましたので抜粋して紹介します。
~企業に求められる具体的な行動
ひとつは、短期的な視点。今ある技術を最大限利用し、いかに足元からCO2排出量を減らしていくか。これは気候変動対策としても重要ですが、取引先やサプライチェーン、そして金融機関からの企業評価に関わってきます。もうひとつは、中長期的な視点。インフラ、社会基盤が大きく着実に脱炭素・低炭素に変わっていくことが必要です。事業活動の中で関係するインフラや設備も変わる必要があります。今そうした中長期視点での着実な脱炭素への移行に向けた戦略策定と取り組みを進めていただきたい。気候変動対策は、より良い持続可能な経済社会を作っていくための取り組みです。気候変動から企業の事業活動と、人々の命と、社会を守るとともに、ビジネスの価値、お客様の価値を支える取り組みとして、企業と地域が連携をして、取り組みを進めていただきたいと思います。
【基調講演2】ESGファイナンスの現状と今後の行方
株式会社格付投資情報センター 執行役員ESG推進室長
チーフアナリスト 小林茂氏
環境・社会・ガバナンスの視点を考慮した ESG投資が急速に普及している中、企業はどのような視点をもって対応していくべきなのか、日本を代表する格付け会社である格付投資情報センターの小林様より解説していただきました。ESGファイナンスの今後について、ESGファイナンスの説明とESGファイナンスの現状も含めて、分かりやすく紹介いただいています。企業や自治体は「サステナビリティ推進のチャンスと捉えて前向きにとらえていくことが重要」とのメッセージをいただきました。
パシフィックコンサルタンツグループによるプレゼンテーション
グリーン社会戦略部 環境・エネルギー政策室 室長 井伊亮太
パシフィックコンサルタンツは1990年前後に国立環境研究所を通じて地球環境問題に取り組みはじめて以降、2009年に地域エネルギー事業を支援する組織を設置し、地球環境問題から地域の脱炭素化へとサービス領域を拡大してきた。業務実績の事例として、2021年8月に環境省が公表した「廃棄物・資源循環分野における2050年温室効果ガス排出実質ゼロに向けた中長期シナリオ(案)」や、環境省ローカルSDGs -地域循環共生圏づくりプラットフォームでの当社のかかわり方などを説明。今後は地域課題あるいは他の環境問題と、脱炭素を同時解決することが今まで以上に重要になると示唆した。
■プレゼン資料:脱炭素社会を実現する政策への貢献グリーン社会戦略部 カーボンニュートラル推進室 室長 井上裕之
企業をとりまく情勢・課題として、プライム市場の創設、ステークホルダーや地域との共生、グリーンファイナンスの活発化の3点を示し、開発エリア全体の価値向上、人やお金を呼びこむことを目的とする「エリアまるごとカーボンニュートラル化」と、地域の脱炭素効果および経済効果を最大限創出、企業と地域が共に繁栄することを目的とする「地域と共にうるおうカーボンニュートラル化」の2つのソリューションを紹介。カーボンニュートラル化の実装に向けては、構想・仕組み・資金調達・将来の運営管理までを一気通貫でケアしていくことが重要になると示唆した。
■プレゼン資料:カーボンニュートラル推進支援サービスの展開グリーン社会戦略部 エネルギー事業化支援室 室長 池本玄
さまざまな課題やハードルに直面する再生可能エネルギー事業において、構想から事業化までの一貫したサポートの重要性を示唆。国内最多の4事例を手掛けたマイクログリッドについては、系統制約下での再エネ導入最大化実現などの効果が紹介された。また、メガソーラーや大規模風力発電のプロジェクトマネジメントやオーナーズエンジニアリングのニーズも増えており、円滑な事業化をサポートしている。多くは自治体と共同のプロジェクトとして成り立っており、今後は環境省が進める脱炭素先行地域プロジェクトとの協力がカギとなると示唆した。
■プレゼン資料:再生可能エネルギーの最大活用とエネルギーマネジメントパシフィックパワー株式会社 代表取締役社長 合津美智子
パシフィックパワーが目指すところは自治体新電力事業を核とした地域振興であり、これまでにさまざまな事業を地域と共同で展開してきている。世界的なカーボンニュートラルのコンセンサスにより日本社会はもとより世界のエネルギーシステムは変わらざるを得ず、旧来のエネルギー関連事業者だけではカバーしきれない事業機会が多々存在するため、今後はパシフィックパワーの地域エネルギー関連の豊富な知見と、独自の新規事業開発メソッドで、事業領域の拡大を目指すための共創フェーズに入ったことが発表された。
■プレゼン資料:新たなエネルギー事業機会の共同探索を見逃し配信(YouTubeチャンネル)
パシフィックコンサルタンツのYouTubeチャンネルでは、今回ご紹介したプレゼンテーションならびにプレゼンテーション後に開催されたパネルディスカッションの動画を期間限定で配信しています(2022年9月に公開終了予定)。
パネルディスカッションでは、高村先生、小林様ほか、当社代表取締役社長 重永 智之、当社理事 梶井公美子、パシフィックパワー代表取締役社長 合津美智子の計5名に加え、進行役に一般社団法人日本プロジェクト産業協議会 事業企画部部長 齋藤彰様のご協力をいただき、「カーボンニュートラル時代を生きる企業のあり方」をテーマにさまざまな議論が繰り広げられました。参加者の方からはたくさんのご質問もいただきました。ありがとうございました。
ご興味ある方は、見逃し配信も併せてご覧ください。
●プレゼンテーション創立70周年記念特別企画『カーボンニュートラル時代を生きる企業のあり方』ウェビナー(前編)
●パネルディスカッション
創立70周年記念特別企画『カーボンニュートラル時代を生きる企業のあり方』ウェビナー(後編)
おすすめ記事
-
日建設計・パシフィックコンサルタンツ共創CROSS OVER - 我々はどこへ向かうのか -
2024.01.10
-
World BOSAI Forum@仙台2023World BOSAI Forum@仙台2023に参加しました
2023.04.26
-
World Bosai Walk TOHOKU+10 応援企画南三陸町イベント 第二部~南三陸町民座談会「町民にとっての復興とこれから」~
2022.07.19
-
World Bosai Walk TOHOKU+10 応援企画南三陸町イベント 第一部~南三陸町佐藤仁町長インタビュー~
2022.07.11
-
World Bosai Walk TOHOKU+10 応援企画南三陸町のいま その1
2022.05.11
-
創立70周年記念特別企画ウェビナーカーボンニュートラル時代を生きる企業のあり方
2022.03.31
-
World Bosai Walk TOHOKU+10 応援企画震災10年後の風景と人との出会い インタビュー編
2022.03.22
-
World Bosai Walk TOHOKU+10 応援企画第3回世界防災フォーラム発表イベント
2022.03.10