事業紹介首都圏外郭放水路計画

水のトンネルで、洪水から社会を守れ

都心から北へ30km強。埼玉県南東部の春日部市周辺。
一帯は標高20~30mほどの低地であり、皿のような水の溜まりやすい地形になっている。にもかかわらず、中川・倉松川・大落古利根川といった3つの河川が狭い地域の中を流れており、そのためひとたび大雨が降れば広範囲に渡って氾濫し、浸水がなかなか引かないという治水上難しい問題を抱えていた。事実、過去20年間で5度も激甚な浸水被害を被っている。この地を浸水被害から守るために、大規模なプロジェクトが進行した。「首都圏外郭放水路」。抜本的な治水対策として、地域を走る国道の下に地下放水トンネルを建設して3つの河川の洪水を取り込み、流量にキャパシティーのある江戸川に放出しようという計画だ。この全長6.3kmの長大な地下放水路の建設に、パシフィックコンサルタンツの総合技術がフルに発揮されているのである。

「氾濫」を解析する技術

1993年にスタートしたこのプロジェクトで、パシフィックコンサルタンツは全体構想から水理解析、そして構造物や施設の計画設計までほぼすべてに関わっている。まずは、地域の氾濫を解析することから作業を着手した。
万が一、大雨で洪水が引き起こされた時、川が氾濫する手前で地下トンネルに落とし込まなければならない。どこに流入施設を設ければ最も効果的か。コンピュータで現地の地形を再現し、現在稼働している治水施設の機能も推定しながら水理現象をシミュレートしていった。
この作業を担ったのは、パシフィックコンサルタンツの看板セクションのひとつである「河川部」である。前田剛志の弁。「この計画は5名のチームで3年かけて作成しました。何しろ計画を誤ると、違う箇所が氾濫しかねない。私たちの判断には、多くの人々の安全がかかっています。いくつかの放水ルートを考案し、経済効果も考慮しながら比較検討を重ね、最終的なプランを練り上げていきました。」

過去に例を見ないスケール

第3立坑の構造イメージ図
第3立坑の
構造イメージ図

ルート計画を受けて、続いてトンネルの計画に入った。まずは氾濫した河川の水を落とし込む「立坑」を造らなければならない。立坑を建設するのは5ヵ所。が、この立坑のスケールが半端ではない。直径30m、深さ70m。想像を絶する巨大な構造物を、地中に設けなければならないのだ。そして地下50mの地点に、直径10mのトンネルを長さ6km以上に渡って築いていく。
実は当初の計画では、この立坑の直径は30mも必要はなかった。しかしトンネルの掘削機を地中にセットするためにはこれだけの大きさを要すると判明したのだ。立坑が大きくなると、当然、全体の水理計画にも影響する。ここでも、筑波実験場が大いに活躍した。
「『水の流れ』は、理論だけでは計れない不可思議なところがあるのです。机上の理論と、実際の水の流れは必ずしも合致しない。この計画が果たして意図した通りに機能するか、筑波実験場で20分の1の模型を造り、あらゆるデータをアジャストしてテストを試みました。その過程で、シミュレーションした結果が正しいかどうか検証していったのです。」

「氾濫」を解析する技術

1993年にスタートしたこのプロジェクトで、パシフィックコンサルタンツは全体構想から水理解析、そして構造物や施設の計画設計までほぼすべてに関わっている。まずは、地域の氾濫を解析することから作業を着手した。
万が一、大雨で洪水が引き起こされた時、川が氾濫する手前で地下トンネルに落とし込まなければならない。どこに流入施設を設ければ最も効果的か。コンピュータで現地の地形を再現し、現在稼働している治水施設の機能も推定しながら水理現象をシミュレートしていった。
この作業を担ったのは、パシフィックコンサルタンツの看板セクションのひとつである「河川部」である。前田剛志の弁。「この計画は5名のチームで3年かけて作成しました。何しろ計画を誤ると、違う箇所が氾濫しかねない。私たちの判断には、多くの人々の安全がかかっています。いくつかの放水ルートを考案し、経済効果も考慮しながら比較検討を重ね、最終的なプランを練り上げていきました。」

設計手法も一から構築

立坑もトンネルも、過去比類のないスケールの構造物である。計画設計に関わったトンネル部の増野正男は、その苦労をこう語る。「たとえば立坑を掘るためには地下深くまで土圧水圧を抑える山留めを造らなければならないのですが、それは日本では例のない長さ。これまでの設計手法で通用するのかどうか、その検討から入りました。トンネルもそう。道路トンネルの設計手法は確立されていますが、放水トンネルは未知数。道路トンネルは外からの土圧だけを考慮すれば良いのですが、放水トンネルは中からも圧力が働く。従来とは異なるノウハウが求められるのです。大学の専門の先生に相談するなど、自分たちで設計手法を築き上げていきました。」

完成へ向けて、総力を結集

増野正男

実際の施工においては、70m掘削するために山留めとして深さ140mの地下連続壁を建設した。地下140mの溝を掘り、そこに鉄筋を入れてコンクリートを流し込む。世界でも初めての工事。そしてトンネルの掘削には、「泥水式シールド工法」(粒土状の水を供給して地下水の侵入を防ぐ工法)を採用した。そのため、専用のシールド機も独自に製作している。あらゆるプロセスにおいて特殊なノウハウが駆使されているのだ。「トンネル部」の他にも、立坑の上屋の計画に「建築部」が、そして洪水を取り入れる流入施設や排出する排水機場の設備計画には「施設エンジニアリング部」がこのプロジェクトに関わっている。まさにパシフィックコンサルタンツの総力が結集され、首都圏外郭放水路は現実のものになっている。災害から人々の生活を守る「知恵」がまたひとつ、社会の財産としてパシフィックコンサルタンツの中に蓄積されたのだ。

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