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事業内容/実績鹿追町自営線ネットワーク等を活用した再生可能エネルギーの最大導入・活用事業

鹿追町自営線ネットワーク等を活用した再生可能エネルギーの最大導入・活用事業
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受賞歴マーク
発注者 鹿追町
業務期間 2018年4月~2021年3月

当社は、これからの社会において地域の再エネを最大限活用していくために、再エネ・蓄電池・自営線等を組合わせた自立・分散型エネルギーシステムの普及が不可欠と考えています。ここでは、そのようなシステム導入支援の一例として、鹿追町での実績をご紹介します。

鹿追町では、バイオマスや太陽光、地中熱など豊かな再エネ資源の最大限の活用を進めています。しかし、北海道電力管内では系統制約(系統で受け入れてくれる電力の上限)があるため、豊富な再エネ資源を活かすためには、町内自体での電気や熱の需要を見つけて、それとうまくマッチングさせる必要が生じていました。

そんな町の悩みに対応し、当社が提案したのが、公共施設群が集中するエリアを対象に、公共施設の機能やエネルギー需要特性に応じて電気・熱を供給する自立・分散型のエネルギーシステムである「しかおい自営線ネットワーク」です。

再エネ最大活用のためのしかおい自営線ネットワークの仕組み

公共施設9施設を自営線と呼ばれる自前の電線でつなぎ、太陽光発電や蓄電池・熱システムと組み合わせることで、再エネを最大導入しながら電気と熱それぞれの需要と供給を上手くマッチングさせ(つまり再エネの余剰を発生させない)、その上で、環境面や経済面、防災面の効果も発揮できるように組み上げたシステムが「しかおい自営線ネットワーク」です。これによって、新たな再エネ導入はもちろん、FIT切れの既設バイオガスプラントからの将来的な電力受入れも可能になりました。

自営線ネットワークは、大きく以下の3つの要素で成り立っています。

防災対応システム

町役場や病院、町民ホールなど災害発生時にBCP対応力を求められる公共施設を自営線(配電線)でまとめたシステムです。太陽光発電440kWと蓄電池270kWhを設置、普段は発電した電力のうち余剰分を蓄電するなど最大限システム内で活用、非常時は、需要の一部をまかなえる規模で自営線による自立的な電力供給を行います。

電気・熱活用システム

福祉施設や温水プールなど電気や熱エネルギー消費の大きい公共施設を自営線でまとめたシステムです。太陽光発電7kWと地中熱ヒートポンプ、蓄熱槽を設置、普段は発電した電力は中低温熱源ネットワークや蓄熱槽も使って最大限システム内で活用します。

CEMSによる需給調整システム(CEMS:コミュニティエネルギーマネジメントシステム)

延長約3km、自営柱44本の自営線ネットワークと熱源ネットワークによる電気と熱の需給は、CEMSと呼ばれるエネルギー需給制御システムで管理されます。例えば、太陽光発電の余剰電力を蓄電池で吸収できない場合は、ヒートポンプを稼働して熱として蓄熱するなど、効率的な管理が可能となりました。


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再エネを最大活用する自営線ネットワークの仕組み

これら現状のシステムに加え、今後は環境省が選定する脱炭素先行地域の取組の中で、さらに公共施設の一部ZEB化、稼働中バイオガスプラント2基からの電力供給(自己託送や小売電気事業など)も視野に取組を継続中です。

事業により期待される効果

環境面

太陽光や地中熱などの再エネ導入で、CO2排出量を年間363トン削減できる見込みです。これは、戸建住宅約120軒分の削減効果に相当します。今後、既設バイオガスプラントの電力の自家消費も可能になれば、さらにCO2排出量の削減が進みます。

防災面

災害で停電した場合でも電気を利用できる施設が増えました(町民ホール、トリムセンター)。照明や携帯電話の充電など、停電時に必要な電気を太陽光発電や蓄電池で賄うことができます。

経済面

電気料金や燃料購入費の削減によって年間約1,000万円程度の財政支出の縮小が見込まれます。特に、公共施設群(9施設7契約)の電力需要を自営線で集約したことで、1需要として受電契約を一本化し、電力使用ピーク低減効果で基本料金を削減した点が大きなポイントです。

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現在、日本では、太陽光の急速な導入拡大で、全国的にローカルな系統制約(電力系統に接続できない)が発生している地域が多く、この系統制約が新たな再エネ導入の阻害要因となっています。今後は、従来の系統に頼らない自家発自家消費・長期安定的な再エネ電源の整備が不可欠です。

鹿追町の再エネ最大活用を目指し導入した自営線ネットワークは、そのようなエネルギー地産地消の先進事例として、系統制約のある地域での再エネ最大活用に道筋をつけたもので、令和3年度「北国の省エネ・新エネ大賞(北海道経済産業局表彰)」において大賞を受賞するなど、社会的にも大きく評価されています。

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