事業紹介京都縦貫自動車道建設プロジェクト

京都の地図を描き換える。ゼロからの「道」づくり。

一本の道路が、その土地に新しい息吹を吹き込む。人や物の交流を生み、新しい産業や文化が芽生える。「京都縦貫自動車道」も、まさにそうだ。京都市と日本海に面した丹後半島を結ぶ、全長100kmにおよぶ高速道路。丹後半島の伝統ある地域産業を支援し、同時に新たなリゾート地として半島を活性化させるためのビッグプロジェクトである。
プロジェクトの構想が持ち上がったのは1980年代前半。当初は国土交通省の高規格幹線道路の一路線として調査が進められていたが、その後京都府が主体に。京都府にはこれまでこうした大きなプロジェクトの経験が少なく、道路公団も設けられていなかった。道路の建設には、その前段階での都市計画決定や環境アセスメント、そして構造物としての道路計画はもちろん、橋梁設計、トンネル設計など極めて広範な領域での技術とノウハウを要する。そこで総合建設コンサルタントとして当プロジェクトに参画したのがパシフィックコンサルタンツである。

自治体の組織づくりからサポート。

1980年代も半ばを過ぎた頃、プロジェクトを担うことになった菊地良範他は、同種業務でヘリコプター現地調査の経験を生かし、航空写真によるルート選定を行っていた。通常、高速道路を設計する場合、あらかじめ絞り込まれた予定地を車で走り現地調査を行うことがほとんどだ。しかし今回は、道路の通過地域の選定からパシフィックコンサルタンツが担うことになった。担当者は当時の模様をこう語る。
「実はこのプロジェクト、自治体の組織づくりから私たちが関わったのです。京都府には高速道路の計画や設計を担当する部署がなかったため、道路やトンネルの専門家も少ない。そこで、道路公社の立ち上げから私たちが携わりました。たとえばこの京都縦貫自動車道は山間地を走るためトンネルを多用せざるを得なかったのですが、そのトンネル設計の標準化を図ったり、また、職員の方々への技術研修も企画して実施しました。まさにゼロから私たちがサポートし、築き上げていったと言えます。」

総合力がなければ、ルートは選べない。

計画ルートの選定は、実は非常に困難を究める作業なのである。京都縦貫自動車道の場合、先にも触れたように山間部を通るため随所にトンネルを設けなければならない。その際、利便性に優れ、できるだけ建設が容易な地形や地質の箇所を選ぶ必要がある。また京都という土地柄、文化財が点在しているため、これらを避けて道路を通さなければならない。そして完成後の交通がもたらす周辺環境への影響も、もちろん配慮しなければならない。こうした条件を踏まえた上で、コストを抑えるためできるだけ短い距離でルートを設定しなければならないのだ。
「ルート選定は、ただ道路設計に詳しいだけじゃダメなんです。まず環境アセスメントの技術。また道路に橋やトンネルはつきものですから、それらの関連技術に長けていることも必要。そして、橋やトンネルを設計するためには、“地質”に強くなければならない……特に土木地質に関して“プロ”と呼べる人は、日本にもそういないんですよ。何しろ、自然が相手ですからきわめて難解。でも弊社は地盤技術部を設けて専門家を何人も抱え、知識と経験が蓄積されている。こうした技術のすべてに精通し、一社でルート選定が担えるコンサルタントは、国内では弊社のほかにまず存在しないと思います。」

私たちの頭脳が、試されている。

インターチェンジをどこに設けるか。ルートの選定作業では、まずそこから始まった。既存の道路網との連絡、市街地へのアクセスなど、さまざまな条件をもとに候補地が絞られていった。そして、京都府とともに関係各市町村の代表と意見を交換する場も設定。こうした場では、どうしても利害がぶつかりあう。その調整もサポートした。誰もが納得できる明快な資料を作成し、総意を得る。そしてインターチェンジの場所が定まった後、その間を結ぶルートが検討されていった。
「コンサルタントの仕事は、まず現地を知ることが大切だと思うんです。私も京都を空からこの目で確かめたからこそ、具体的なイメージを持つことができた。航空写真の上に、メンバーと議論しながら絵を描いたり……。難しい仕事ですが、だからこそ私たちがやらなければならない。私たちの頭脳が試されているのです。」
最終的に始点である京都市と終点である宮津市の間で3つのルートを候補として挙げ、京都府に諮った。

コンサルタントの真髄、ここにあり。

辻幸英 菊地良範

ルートが正式に決定され、いよいよ詳細設計。担当した辻幸英の弁。
「ルートに沿って、2500分の1の図面を起していきました。難しいのは、やはりトンネル。実際に掘ってみたら事前の調査と違う地質で、急遽、図面を引き直したり。また、予期せぬところから文化財が発掘され、設計を変更したこともありました。でも、こうした大きなプロジェクトに関われるのは、やはりコンサルタント冥利に尽きる。自分の仕事が、京都の地図の上に新たに記されるわけですから。」
京都縦貫自動車道は機能し始めている。しかしプロジェクトはまだまだ進行中だ。メンバーたちは現在も、さまざまな課題に持ち前の技術で立ち向かっている。パシフィックコンサルタンツが築き上げようとしているこの道は、果たして京都をどう変えていくのか。

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