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「2011年度河川技術に関するシンポジウム」で「優秀発表者賞」を受賞しました

2011年08月25日

弊社では、二瓶泰雄准教授(東京理科大学理工学部土木工学科)、国土交通省関東地方整備局江戸川河川事務所と共に、国土交通省による河川技術研究開発制度(地域課題分野)に採択され、「河川流速の力学的内外挿法(DIEX法)に基づく流速・流量・粗度推定手法の構築」をテーマに研究を進めています。

 土木学会水工学委員会主催による『2011年河川技術に関するシンポジウム』で研究成果を発表し、「優秀発表者賞」を以下のとおり受賞しましたのでお知らせします。

・名 称:2011年度 河川技術に関するシンポジウム

・日 時:2011年7月23日 ~ 24日

・受賞名:優秀発表者賞

・論文名:力学的内外挿法(DIEX法)に基づく「点」から「面」流速データ推定法の構築

・著者名:柏田仁(弊社国土保全技術本部)、二瓶泰雄(東京理科大学理工学部)、髙島英二郎(国土交通省関東整備局江戸川河川事務所)、山﨑裕介(弊社国土保全技術本部)、市山誠(弊社国土保全技術本部)

【論文概要】
力学的内外挿法(DIEX法)に基づく「点」から「面」流速データ推定法の構築
(キーワード:流量、DIEX法、浮子、データ同化、河川流)

1.本研究の背景と目的
流量観測において、様々な流速観測手法が提案されていますが、それら流速データはいずれも断面内の離散的な「点」データであり、流量算定には横断面全体にわたる断面直行方向流速分布が必要です。一方、二瓶らは、H-ADCPによる流速「線」データを流速「面」データに内外挿する力学的内外挿法(DIEX法)を提案し、その有効性を示しています。

本研究では、このDIEX法の更なる高度化・汎用化を目指して、浮子等で得られる「点」流速データから「面」流速データを推定可能なDIEX法の構築と有効性の検証を行いました(図−1)。

2.有効性の検証
台風0709号時の江戸川野田橋地点におけるADCP観測結果から模擬浮子データを作成し、本手法および従来法の流量推定精度を検証しました。

成果①: 流速推定精度

本手法による推定結果は、流速の横断・鉛直分布共にADCPと良好に一致しており、その誤差は従来法の半分以下となりました。

成果②: 流量推定精度
従来法の流量推定誤差のRMS値は8.9%であったのに対し、本手法では2.6%と極めて小さくなりました。

成果③: 浮子本数が流量推定精度に与える影響
従来法では浮子の本数の減少に伴い、流量推定精度が低下しますが、本手法では浮子の本数にかかわらず誤差2~3%程度を保持します。

3.DIEX法の適用による効果
・流速、流量推定精度の向上  
・観測点数の最小化、観測点数減少による観測時間の短縮  
・観測点数減少による省コスト化

さらに、縦断的にDIEX法に基づいた検討を行うことで、上下流収支の確認、河道内貯留の有無とボリュームの確認などを精度よく行うことができます。

◆論文の全文はこちら (517KB) ◆ポスターはこちら (1471KB)
◆リンク 東京理科大学水理研究室DIEX

<担当者> 国土保全技術本部河川部 柏田仁
〒163-6018 東京都新宿区西新宿6-8-1
TEL:03-5989-8421、FAX:03-5989-8419
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