2004

東京国際空港再拡張事業

東京国際空港再拡張事業

愛され期待される空港に、新たな歴史の1ページを

高度な技術的知見で空港再生を

1931年の開港以来、東京、首都圏を代表する空港として機能してきた東京国際空港。羽田空港という愛称で親しまれるこの空港は、国内航空旅客の約60%が利用する国内航空輸送ネットワークの要です。しかし航空需要の増大が進む中、既にその能力は限界に達しようとしていました。
2003年、パシフィックコンサルタンツは、この地下構造物の設計監理をコンペに勝ち抜いて獲得しました。

ハイブリッド構造の滑走路の全体工程を担当

2002年度の工法評価選定会議にも参加していたパシフィックコンサルタンツが、正式に東京国際空港再拡張事業に関わったのは、2004年度の試設計業務から。以降、2005年度の工事監督指針検討業務、2006年度の動態観測システム開発業務、2007年度からの工事監督補助業務と、計画から調査、契約、設計、工事までの全ての段階で技術とノウハウを提供しました。
D滑走路は、最新の旅客機A380の離着陸にも対応できるように設計されており、滑走路長2,500m、幅60m。海面上およそ13~17mの高さに、既存のB滑走路とほぼ並行に建設されました。その構造は、従来からの埋立構造と、多摩川の通水性を確保するために新たに採用した桟橋構造とのハイブリッド構造。耐久年数は100年を想定されています。

年間発着数38%アップで大きく広がる可能性

このD滑走路の整備により、空港の処理能力とされる年間発着数は29.6万回から40.7万回へと飛躍的にアップ。国内線ではより小型の飛行機による多頻度運行が可能となり、国際線については、「将来の国内航空需要に対応した発着枠を確保した後の余裕枠を活用して、年間6万回程度(短距離便と中・長距離便がそれぞれ3万回、1日約80便)の就航が可能になる」という国土交通省の見解を導き出しました。
需要にしっかりと応えた東京国際空港。その新たな一歩に、パシフィックコンサルタンツは深く関わったのです。

プラス1

設計・施工・運用にあたっては制約条件がいくつかあり、その概要と対応策は、次のようなものだった。「多摩川の流れを遮らないこと」→南側1,100mおよび現空港との連絡誘導路を桟橋形式にして、川の流れをせき止めないようにした。「既存の滑走路の離着陸を妨害しないよう工事すること」→進入コース直下での大型クレーンによる施工などは夜間の空港運用時間外に行うよう、綿密な工程管理を実施した。「東京港に入出港するタンカー、貨物船などの安全な航行を妨害しないようにすること」→空港東側にある東京港第一航路を一部移設して対応した。またこれらの一連の整備手法として、効率的・効果的な施設整備や空港利用者に対するサービス水準の向上等を図るため、"民間の資金、経営能力、技術能力などを活用して公共施設等の建設、維持管理、運営等を行う"「PFI手法」を活用して事業を実施した。