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事業内容/実績名勝天龍峡に架かる大規模特殊アーチ橋 三遠南信自動車道 天龍峡大橋プロジェクト(平成30年度土木学会田中賞受賞作品)

名勝天龍峡に架かる大規模特殊アーチ橋 三遠南信自動車道 天龍峡大橋プロジェクト(平成30年度土木学会田中賞受賞作品)
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受賞歴マーク
発注者 国土交通省中部地方整備局 飯田国道事務所
業務期間 2019年(竣工年)

名勝天龍峡の自然との調和のために ~国内一扁平な上路アーチ~

天龍峡大橋は、中央道から新東名を接続する三遠南信自動車道が、飯田市内で一級河川天竜川を渡河する橋長280m、アーチ支間210mの鋼上路式アーチ橋(バスケットハンドル型固定アーチ)である。
架橋地の一部は、文化財保護法により国の重要文化財に指定される「名勝天龍峡」であり、名勝地を横断する自動車専用道の架橋事業は前代未聞のプロジェクトであった。
この名勝の歴史ある良好な景観との調和を図るため、峡谷のV字地形に収まり、背後のスカイラインを阻害しない「鋼上路式アーチ橋」を選定。さらに、峡谷を一機に跨ぐ扁平なアーチ構造として、下部工の基数を最小限として自然改変を最大限抑制した。ちなみに、天龍峡大橋のアーチ支間・ライズ比11.0は、国内で最も扁平なアーチ橋として位置づけられる。2019年(令和元年)11月17日開通。

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扁平アーチとバスケットハンドル型アーチによる3次元的造形美

天龍峡大橋

天龍峡大橋の橋面はR=470~1700mの平面曲線を有しているため、2本のアーチリブが均等に荷重を支持することが基本であるアーチ橋には不向きの条件であった。この曲線の道路線形に対応するため、曲線の道路線形に沿って配置した補剛桁に対し、曲線の橋面と平面曲率を合わせたバスケットハンドル型アーチリブを組み合わせることで、シンプルかつ3次元的に美しい独特の造形を創出した。
構造的には、床版張り出し長を左右で調整して2本のアーチリブに作用する荷重の均等化を図ることで、構造の合理化、アーチ閉合作業の容易化を両立させている。

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鋼上路式アーチ橋では日本唯一となる桁下歩道~名勝の活用のために~

天龍峡大橋

桁下の歩道構造は、名勝の活用・地域の活性化に資するため、橋梁検査路兼用で計画したものである。
名勝天龍峡南半部を周遊できる新たな遊歩道の一部となり、天竜川からの高さは約80mで名勝の景を楽しめる新しい空間を創出した。
構造的には、補剛桁横桁とアーチクラウンの間に納まる構造とし、橋本体構造や景観に悪影響を及ぼさないこと、利用者に対するバリアフリー、展望部の確保などに配慮している。

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橋に秘められた様々な景観への配慮

橋の色彩は、「四季を通じて周辺の景観に調和する」色彩として現地調査を重ね、日本古来の伝統色「山鳩色」を選定したほか、自然環境への配慮として周囲への夜間の光漏れを最小化するための壁高欄埋込み照明の採用など、名勝への存在感・圧迫感の軽減のため細やかな配慮を行っている。

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平成30年度土木学会田中賞(作品部門)受賞

天龍峡大橋

土木学会田中賞(作品部門:新設)は、橋梁およびそれに類する構造物の新設において、計画・設計・制作・施工・維持管理などの面において優れた特色を有すると認められるものが選考され、橋梁分野で最も権威がある賞とされている。
天龍峡大橋は「名勝天龍峡の自然との調和のため、扁平なアーチと曲線補剛による3次元的造形を実現させたことが、今後の橋梁建設に貢献するもの」と認められ受賞に至っている。
曲線の橋面にバスケットハンドル形のアーチを組み合わせた独自の造形は、おそらく世界的にも初の実績と考えられ、地域に末永く愛される橋梁となることを期待するところである。

なお、国土交通省中部地方整備局からの発注により、当社が制作に関わった天龍峡大橋の事業紹介動画が、YouTubeに掲載されました。
https://www.youtube.com/channel/UC7ikdp2FGt_niPat3kAcDKA