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PM/CMとは?

大規模なインフラ整備や民間事業に欠かせない理由を専門家が解説

インフラ整備事業や大規模開発事業において、発注者や事業主を支援する立場でマネジメントするPM/CMが、今大きな注目を集めています。背景にあるのはプロジェクトの大型化・複雑化と大規模プロジェクトをマネジメントできる人材の不足。高い専門性をもった第三者へ委託するケースも増えています。パシフィックコンサルタンツでPM/CMを担うプロジェクトマネジメント事業本部の加藤正史と同PM/CM事業部の渡井恭周に話を聞きました。

INDEX

PM/CMとは何か

PM(Project Management)/ CM(Construction Management)は、プロジェクトを成功に導くため、事業全体を包括的にマネジメントする管理手法のことをいいます。プロジェクトの要件である時間やスコープ(範囲)、品質、安全、調達などのあらゆる要素に配慮し、発注者や事業主の立場に立って、事業計画の立案から設計・施工、引き渡しに至るまで、関係者間の調整やリスク管理、意思決定支援などを行います。

国や自治体が進めるインフラ整備事業や民間企業の都市再開発、次世代エネルギー開発といったプロジェクトにおいては、規模は大型化・複雑化する傾向にあります。当然、プロジェクトの工期は長期に渡り、ステークホルダーも複雑かつ多岐にわたります。進行に不備があれば、予算超過や無駄な支出の発生、工期の遅延、関係者間の調整不足によるトラブルの発生、品質基準の不一致、さらには情報共有不足による意思決定の遅延といったことも起こりかねません。このような大規模プロジェクトの円滑な遂行のために、PM/CMは欠かせない管理手法となっています。

プロジェクトマネジメントが扱う8つの基本要素
プロジェクトマネジメントが扱う8つの基本要素。導入することで事業の効率化を実現する。
既存資料をもとに当社にて作成
出典:「公共事業へのプロジェクトマネジメント(PM)手法導入に関するビジョン」1999年6月(国土交通省(当時は建設省))

PM/CMはまとめて扱われることが多いですが、それぞれで果たす役割は異なります。PMは発注者や事業主の立場で、事業計画支援や事業費の想定、運営計画・予算・スケジュールの作成といった「事業計画の遂行」を主な目的としてプロジェクトを遂行していきます。それに対してCMは、計画、設計、施工の各段階を通じて、プロジェクトの効率化、コストの最適化、品質の向上を図るために総合的にプロジェクト管理を行います。

公共事業においては、PM事業、CM事業、施工監理事業を分けて発注する方式が基本とされることが多い一方、民間事業では、プロジェクト型の一体発注や分離発注など、事業主のニーズに応じて柔軟に発注方式が選択されます。そのため、PMは公共事業と民間事業で役割は大きく変わりません。一方でCMは、公共事業においては施工のみがマネジメントの範囲であることが大半です。対して民間事業においては、計画、設計、施工などの全般がマネジメントの範囲となります。また、コストマネジメントは民間事業においては必須ですが、公共事業においては大半がスコープ対象外です。公共、民間事業のPM/CMの役割、スコープの違いを理解した上でマネジメントをおくことが重要になります。

PM/CMに近い業務として「工事監理」があります。工事監理は、建設プロジェクトを構成する個々の工事に関する業務で、工事仕様・設計要件が満たされていることを確認し、決められた工事を推進するものです。それに対して、PM/CMは業務を決める発注者や事業主の立場で行うマネジメントであり、工事監理とPM/CMは性格が大きく異なります。

なぜPM/CMのニーズが高まっているのか

プロジェクトとは、まちづくりを含む建設だけではなくソフトウェア開発や新商品企画など、納期や目標などのゴールが定められている業務のことをいいます。プロジェクトを成功に導くためには、マネジメントが欠かせません。 多くの建設プロジェクトを主導する国土交通省でも、すでに2000年代に入る頃から『CM活用ガイドライン』や『プロジェクトマネジメントの手引き』などを作成・公開しています。PM/CMは決して新しい考え方ではありません。ではなぜ今、PM/CMのニーズが高まり、市場性が拡大しているのか――その背景にあるのは、プロジェクトの大型化と複雑化、そしてマネジメントを担う人材不足です。

現在のインフラ整備や大規模都市再開発、次世代エネルギー関連事業などにおいては、地球環境への影響や持続可能性への配慮をはじめ、脱炭素、廃棄物処理、防災、BCP対策、地域貢献など、多くの社会課題が複雑に絡み合い、多分野にわたる技術が求められています。ステークホルダーも多く、発注者や事業主と、施工者やメーカー、また地域住民など多主体間の調整が必要であり、そのための技術的な知見やエビデンスの収集、交渉の設計が求められています。マネジメントは、非常に複雑なものになっているのです。

一方でマネジメントを担う人材は不足しています。国の各機関は、各種インフラの施工管理や維持管理、災害対応業務が増え、慢性的な人手不足に陥っています。自治体でも人員の抑制や技術職員の定年退職などで人手不足が深刻化し、関連部局間の調整も簡単ではありません。また、あらゆる事業について持続可能性は欠かせないテーマですが、省エネや再エネ活用、環境保全、防災などの民間主導で進む最新技術やノウハウの評価や導入も課題です。資金確保や安定的な運用のために必要となるPPPについても、事業スキームは複雑化しており、理解や評価は非常に難しいものになっています。

民間事業においても、例えば大規模都市再開発プロジェクトにおいて複数のゼネコンが建設に参画するケースでは、事業主とゼネコン、そしてゼネコン間の現場調整役としての役割が求められます。市場が拡大している次世代エネルギー分野においては、多方面にわたる技術知識が必須となります。プラント建設計画においても、プロセス、機械、土木・建築、電気、計装の全体を把握し、脱炭素や地域貢献なども含めた基本計画や事業計画、そして推進役として事業主に伴走し、事業主、ゼネコン/メーカー等の調整を行うことが求められています。

従来、事業主と元請会社で成立していたプロジェクトは複雑化し、こうしたマネジメントは困難になってきています。にも関わらず、事業主の組織内には、専門分野に特化した技術者はいても、全体をマネジメントできる人材は不足しているというのが現状です。こうした背景から、PM/CMをアウトソーシングして、プロジェクトを円滑に進めようとする動きが浸透しつつあります。

PM/CMの必要性と価値を改めて示した震災復興業務

PM/CMを外部に託すことの有効性について、例えば公共事業においては、東日本大震災の復興事業のなかで明らかになりました。まちづくりと一体で進める新たな堤防の築造や、鉄道、道路の復旧・新規建設など、これまで経験したことがないような大規模なインフラ整備を早期に完了させることが求められました。発注者側の技術職員が圧倒的に不足していた中で、その解決策として採用されたのが「事業促進PPP」です。官民の技術者が一体となって知見を融合することで、効率的なプロジェクトマネジメントを目指す。プロジェクトの中では、建設コンサルタントが全面に出てPM/CMを担うことも多くありました。事業促進PPPは多くの成果を生み、本来は20年以上を要すると言われていた大規模なインフラ整備を、たったの10年で完了することができたのです。PM/CMの価値が認められ、熊本や能登における災害復旧・復興事業においても同様の方式が採用されるようになりました。今では新たなプロジェクトマネジメントの手法として定着しています。

PM/CMに求められる能力とは何か

外部からの支援として行うPM/CMは簡単ではありません。発注者や事業主側には組織や立場ごとに異なるレベルの意思決定者が存在し、さらに設計者や施工者、地域住民など、多くの関係者がいます。特定の関係者に偏ることなく、公平性・透明性を確保しながら、全体最適の視点で意思決定を支援し、合意形成を図らなければなりません。震災復興における事業促進PPPやPM/CMの推進は大きな成果をもたらすとともに、PM/CMを成功させるために、その担い手に何が必要なのかを明らかにするものでした。

その基本となるのは、① 幅広い専門性、②第三者性、③政策整合性の3つの能力です。

これらに加えて、常に発注者や事業主の想いに寄り添い、発注者のニーズと設計者および施工者の技術力・マネジメント力のギャップに応じた課題抽出力とその解決策、そしてコミュニケーション力と通訳も求められます。どんなに多様な技術力やマネジメントのノウハウを備えていても、この基本的なスキルを欠けば、PM/CMは担えません。ボトルネックになっているところ、あるいはこのまま進行すればボトルネックになりそうなところをさまざまな知見、ヒアリングや議論を通していち早くつかみとり、問題点を発見する。特定の技術の問題なのか、あるいは工程なのか、予算なのか。業務をスムーズに遂行する方法を検討し、実際に整備する――そうした力こそ、PM/CM業務の遂行に当たって最も重要となるものです。

これまでインフラエンジニアリングを核として幅広い技術サービスを提供し、震災復興などでも大きな力を発揮してきたのが総合建設コンサルタントです。その重要性を実地で学んできたという点でも、PM/CMの担い手として、大きな期待が寄せられる存在になっています。

パシフィックコンサルタンツにできること

パシフィックコンサルタンツは、東日本大震災の復興事業「三陸道の釜石山田工区の事業促進PPP」や「旧北上川河口部復旧・復興事業におけるCM業務」など、大規模かつ複雑なプロジェクトのマネジメントを担い、復旧・復興の迅速な推進に貢献してきました。その後の熊本地震や能登半島地震の復興事業においても、国道の早期復旧や集落再生事業などでPM/CMを担っています。また、防衛関係の基地整備事業においても、土木、建築、設備などの当社が保有する多分野にわたる総合力を活かして、PM/CM業務を数多く受託しています。

PM/CMへの期待が高まり、市場が拡大するなか、当社は2022年にPM/CMに特化した事業部門を立ち上げました。現在は、大規模災害対応や防衛分野・道路分野に限らず、大規模都市再開発、さらに次世代エネルギー分野などにおいても幅広くPM/CMを担っています。

私たちはこれからも発注者や事業主に伴走し、そのニーズを引き出し柔軟に対応しながら、その想いを最適なかたちで実現していきます。パシフィックコンサルタンツならではの多分野にわたる要素技術とそれを統合する力を活かし、PM/CMを通して「未来をプロデュースする」役割を果たしたいと考えています。

加藤 正史

KATO Masashi

プロジェクトマネジメント事業本部
副本部長

2025年入社。大学卒業後橋梁メーカーに入社し、請負者として現場、設計を経験。その後大手化学会社に転職し土木建築全般の技術を学び、発注者の立場でプロジェクトマネジャーとして複数のプロジェクト(プラント、研究所、土壌汚染対策、水力発電所更新等)を成功に導いた。請負者の現場/設計、発注者のプロジェクトマネジメントと多様な経験が強み。当社入社後PM/CM事業の成長戦略/仕組み構築、民間事業拡大等PM/CM事業の構築を推進している。技術士(建設部門ー鋼構造及びコンクリート)。

渡井 恭周

WATAI Chikanori

プロジェクトマネジメント事業本部
PM/CM事業部 部長

1993年入社。道路計画・設計分野を主軸に、高規格幹線道路や都市高速道路の路線設計をはじめ、渋滞・事故対策、維持管理計画の立案・推進に従事。大阪・中国・九州の各本支社において道路室長、交通基盤事業部長を経て、組織運営および技術領域の両面から事業を牽引。2026年10月より現職。主な発表論文は、「生活道路における交通安全診断制度の国内導入にあたって」、「四国地方における凍結防止剤散布効果の把握と管理水準(案)の策定」等。技術士(建設部門ー道路、建設環境)(総合技術監理部門)。

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