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価値観を共有する強い組織として、まだ見えない社会課題の解決に挑む

共通の価値観が多様な人材の多様な力を一つに

パシフィックコンサルタンツでは、企業活動にあたって大切にしたい6つの価値観を制定しています。「パシフィックコンサルタンツらしさ」として暗黙知にとどまっていたものを形式知として明文化したものです。私たちは、共通の価値観を持つことで、社会に新たな価値や変革をもたらす「強い個」であり「強いチーム」、そして「強い会社」であろうとしています。なぜ価値観の言語化が求められたのか、どのように取り組み、どのような成果を得ているのか――経営企画部で経営陣と共にその活動を担った石﨑晶子、本橋あずさに話を聞きました。

INDEX

なぜ今、価値観の言語化が必要だったのか?

――価値観の制定に取り組んだのはなぜですか?

石﨑:創立から70年が経ち、当社の社員も社会課題も、相当に多様化した今だからこそ、当社のビジョンやステートメントを達成するために共通の価値観を持つ必要性を強く感じました。当社の6つの価値観は、当社の経営陣が自ら言葉を紡ぎ、産み出したものです。私たちが担ったのは、そこに当社らしさ、アイデンティティを埋め込むプロセスです。時代とともに変化する社会課題と未来の社会課題を見つけ出し、インフラエンジニアリングを核としたサービスによって解決する――それが私たちの目指すものです。国内外の複雑で多様化した課題を解決するために、土木技術だけでなく多様なプロフェッショナルの力が必要です。各自が能力を存分に発揮し、パフォーマンスを最大化するためには、「何を大切にして事業を進めるか」という共通の価値観を持つことが重要です。経営陣からも「社員が価値観を理解し、同じ価値観を持っているチームだと信じることができるからこそ、心理的安全性が確保される。何事にも臆せず、失敗を自ら口にしたり、本音で語りあい、心を開いて学びあうことができる。一人ひとりが最高のパフォーマンスを発揮できる組織であるために価値観の共有は欠かせない」(後藤剛之取締役常務執行役員)というメッセージが発信されました。

――価値観はすぐに従業員に受け入れられたのでしょうか。

石﨑:価値観を制定した当時は、ただの「キーワード」であり、従業員目線では「まあ当たり前な価値観だな・・・」くらいにしか受け取られていなかったように思います。でもこれは織り込み済みの反応であり、経営陣の指示した羅針盤である価値観が、従業員の心にしみこみ、行動につながるには、ボトムアップの息の長い取り組みが必要だと経営陣と共に考えていました。

従業員の行動に結びつく価値観へ

――どのようにして従業員の行動につなげていったのですか?

石﨑:経営陣が価値観を制定後、全事業本部、各地域本社・支社から一人ずつが参加する「価値観ワーキンググループ(WG)」を立上げ、どうやったら価値観の共有ができるのか、従業員の具体の行動に結びつくのか、議論を重ねました。ちなみに、当時は国土基盤事業本部の代表メンバーとして参加していた本橋さんが、現在は経営企画部のメンバーとしてここにいます。

本橋:WGでは経営層から示された「公正・誠実/責任・貢献/情熱・挑戦/共創・協働/多様・受容/幸福・安心」の12のキーワードを、私たちの行動に結びつく具体的な言葉に落とし込むことにチャレンジしました。「価値観は人それぞれだから、定めることで逆に反発が起きるのでは」と不安もありました。しかしWGで議論を重ねるうちに、どのキーワードも私たち自身が仕事を進めるうえで欠かせないもの、従業員全体の共通の価値観として明確にすべきだと感じるようになりました。このプロセスに関わったことは、私にとっても貴重な経験になりました。

――具体的にどのような議論をしたのですか?

本橋:12のキーワードについて、具体的にどのような行動を指すのかを説明する一文を考えていきました。重視したのは「判断基準として相応しいか」「パシフィックコンサルタンツらしいか」「全従業員に伝わるものか」という3点です。そこで、日々の判断軸となるよう宣言文と問いかけのセット形式を提案しました。たとえば3つめの価値観「情熱・挑戦」では、次のとおりです。

(宣言文)

「情熱・挑戦:私たちは、まだ見ぬ社会の課題を捉え、その解決に全力で挑戦します」

(問いかけ)

―現状に甘んじず、仲間と共に成長できているか?
―積極的にチャレンジしているか? 学びを得ているか?
―前例に捉われず、本質に向き合っているか?

社内で日頃使われている言葉や、暗黙知だった「当社のあたりまえ」「パシフィックコンサルタンツのアイデンティティ」を言語化していき、パシフィックコンサルタンツらしさを自問自答できる形にしていったのです。

石﨑:「情熱・挑戦」は多くの企業が行動指針として掲げる言葉ですが、「まだ見ぬ社会の課題を捉え」という表現は、他の会社にはない私たち独自のものです。発見されていない課題をもいち早く察知して、その解決策を考えビジョン「未来をプロデュースする」に繋げる姿勢こそが、パシフィックコンサルタンツらしさだと、従業員は日頃から考えているよね、というWGメンバーの想いです。また「前例に捉われず、本質に向き合う」も、ただ単にお客さまの要望に応えるだけの会社であってはいけない、という私たちの自戒を表したものです。たとえ要望として出てきていても、本質に遡ってそれが本当の答えなのかと疑うことが、私たちならではの価値提供につながるからです。このような暗黙知を形式知にしていくプロセスをすべての項目で積み上げました。

本橋:「判断基準として相応しいか」「パシフィックコンサルタンツらしいか」に加えて「全従業員に伝わるものか」という点で気をつけたのは「技術者」「技術の会社」という表現を避けたことです。当社は、社会インフラに関する技術サービスの会社なので、技術力は根幹であり、技術者が多いのは確かですが、事務系社員や営業系社員も含めて誰しもがプロフェッショナルとして組織をつくっています。「技術の会社」と表現すると、「自分は違う」と受け取る人が出てしまうかもしれません。その思いから、「共創・協働」では「私たちは、専門性の掛け算の力を信じ、当社グループ全体で取り組みます」という表現にしています。

――WGの議論から得たものは大きかったと言えそうですね。

本橋:大きかったですね。12のキーワードを最初に聞いたときには、当たり前で一般的だと軽く受け止めていたことが、それぞれ奥が深く、一つひとつの価値観にパシフィックコンサルタンツらしい表現があるということがわかっていきました。私の会社の「公正・誠実」はこれなんだなとか、「責任・貢献」はこういうことなんだ、と理解が深まり、改めて腑に落ちるという体験で、12のキーワードが自分の価値観にもなっていくプロセスが体感できました。

暗記してもらうことではなく日々の行動指針として

――認知・浸透についてはどういう取り組みをしていますか?

石﨑:6つの価値観は、額に入れて飾るものでも、朝礼で唱和するようなものでもありません。価値観に基づいた行動が実際に生まれていくことが重要です。そのため、制定した2024年からさまざまな取り組みを進めています。

――本橋さんは経営企画部に異動され、今度は浸透を図る側になったのですね。

本橋:はい、WGでの議論を通じて少しずつ価値観が身近になっていった私自身の体験を活かして施策を考えています。その一つが「チェックシート」です。6つの価値観と12のキーワードが行動の指針にならなければ意味がありません。そこで「問いかけ」を使って「価値観 1年振り返りチェックシート」をつくりました。価値観ごとの問いかけに、セルフチェックできるようにしています。自分の行動を振り返りながら、価値観が具現化できているかも振り返る。ちなみに、このチェックシートに最初に取り組んだのは大本社長でした。本部長と地域本社・支社長が参加した「組織・人材マネジメント研修」の場で、自身の1年を振り返ったチェック内容を公開し、リーダー層に活用を呼びかけました。現在では、各本部や地域本社・支社、部門や室単位でも利用が進んでいます。また、年に1度開催している社内表彰「Pacific Award」の申請時に、応募する活動内容が「どの価値観を大切にした活動か」を記載してもらうなど、行動と価値観を結びつける工夫もしています。大事なのは価値観を覚えてもらうことではなくて、日々の活動のなかで思い出し、意識してもらえるような仕組みを提供することだと考えています。

石﨑:最近の社内研修では、研修を担当する社員が「自分の大事にしている価値観」を紹介するようにしています。今春の新入社員研修でも、毎日の開講挨拶の中で10人の常務執行役員が順番に「私の大事にする価値観」を紹介しました。役員含めて、上司や同僚のことを価値観を通じて知る機会にもなっていると感じます。しかし、価値観の浸透を強制することは絶対にしない、というのも私たちの思いです。それはパシフィックコンサルタンツらしくありません。チームビルディングやコミュニケーションの活発化のためのツールを提供するなど、価値観を意識し、チームで共有する機会を自然に生み出していくための工夫を今後もしていきたいと思っています。価値観により実現したいことは、一人ひとりが能力を最大限発揮できる環境づくりであり、その結果としてチームや会社全体の力を最大化することです。私たちのステートメントを実現するためには、多様な人材の多様な力を一つの方向に向かわせるための共通の価値観という土台を確立しなければなりません。これからも6つの価値観が、私たち従業員の生きた行動指針として根付くような取り組みを地道に続けていきたいと思っています。

■Statement

世界中の誰もが脅かされない、格差がない豊かなくらしを、実現すること。
すべての生命の源である美しい地球、その環境を守り、未来へ引継ぐこと。
――私たちは、この2つの両立を使命として、持続可能な社会をつくります。
そのために、時代とともに変化する社会課題と未来の社会課題を見つけ出し、
インフラエンジニアリングを核とした先進的なサービスによって解決します。
新たな価値や変革をもたらすために、私たちの挑戦は続きます。

■ビジョン

未来をプロデュースする|Producing The Future

■経営理念

プロフェッショナルコンサルタントとしての資質を磨き上げ、先進的な統合ソリューションサービスにより、新しい価値を社会に提供し続ける。

■価値観

01 公正・誠実
私たちは、自分と家族・友人・仲間に、胸を張って誇れる行動をとります。
02 責任・貢献
私たちは、世界に貢献できる技術をもって、100年先も社会に新たな価値を届けます。
03 情熱・挑戦
私たちは、まだ見ぬ社会の課題を捉え、その解決に全力で挑戦します。
04 共創・協働
私たちは、専門性の掛け算の力を信じ、当社グループ全体で取組みます。
05 多様・受容
私たちは、互いに認め合い、敬意を持ち、多様性を力に変えていきます。
06 幸福・安心
私たちは、仕事と生活の調和により、豊かな人生を実現します。

石崎 晶子

ISHIZAKI Akiko

人事部 人材戦略室 室長

2003年入社。自治体の環境基本計画等策定支援、国の気候変動影響予測・適応分野の調査や生物多様性分野の調査等に10年間従事。その後、事業開発分野に異動、地方創生や大学連携の事業創生などに5年間携わる。2019年より、本社・経営企画部に異動、コーポレート・ガバナンス体制構築、企業理念の浸透のほか、社内制度創設等に係る。2025年より、本社・人事部に異動、現在人材戦略室長として、人材マネジメント、多様なキャリア支援等の仕組み構築に取組中。

本橋 あずさ

MOTOHASHI Azusa

経営企画部 経営企画室 兼 社長室

2011年入社。地震に伴う地盤災害の対策工設計や予防保全に向けた対応マニュアルの検討業務、盛土規制法に関連する業務に従事。2023年より、本社・経営企画部に異動し、価値観を含む企業理念の浸透やコーポレート・ガバナンス体制構築などを担当。技術士(建設部門)、地盤品質判定士。

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