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2021.12.13

パシフィックコンサルタンツが挑む自律型組織への変革(後編)

1on1ミーティングの導入

後編は、1on1ミーティングの浸透に取り組んでいる新しい働き方推進室の二人に、取り組みのきっかけから導入プロセス、工夫したポイントについて聞いてみました。

写真左から、新しい働き方推進室 マネージャー 飯島 玲子、代表取締役 専務執行役員 大本 修、代表取締役 社長執行役員 重永 智之、新しい働き方推進室 室長 油谷 百百子

1on1導入のきっかけ:D&Iの「I」(愛)が足りない。組織内の多様性を活かすための1on1 (後編)

――1on1の取り組みを始めたきっかけは、飯島さんが2019年夏にビジネスコーチ株式会社の公開セミナーへ参加したことだと伺いました。当時、組織においてどのような課題感があったのでしょうか。

飯島:私は2013年からD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)を推進する活動を続けてきました。かつては0%だった女性役員比率が今では15%になり、新入社員に占める女性割合も30%に上るなど多様性は確実に増しています。こうした状況を踏まえて、これからの当社ではD&Iの「I」、つまり多様性を強みとして統合し、活かしていく必要があると考えていたのです。

D&I活動を現場で進めていく中では、「育児や介護に向き合っている人の気持ちを聞いてみよう」とか、「そうした人が周囲からどんなふうに見られているのか聞いてみよう」といった、普段はなかなか踏み込むことのない会話が重要だと気づきました。一人ひとりが本音を交わしていかなければ、組織内の多様性を活かすことができません。社員同士のコミュニケーションを深め、自律型組織を作っていくために、1on1は欠かせないツールだと思っていました。

1on1導入時の工夫:部署や個人の「心理的安全性」に配慮

――1on1の導入にあたっては、社内のどの階層に、どのような変化を期待されていましたか。

飯島:まずは幹部から順に、1on1への本気度を高めてもらわなければいけないと考えていました。経営層はメンターの経験者も多く、理解がほぼ得られているので、次は部長クラスになります。昨年から開始したモデル試行では、部門ごとに手挙げ式で参加してもらう形にしたので、部門長クラスが必要性を意識し、考える機会になりました。

――部署ごとの温度差はありませんでしたか。

飯島:今秋からの全社展開を前に2回のモデル試行を実施し、ほぼ9割の部門が参加しました。ただ、2020年に始めた試行1回目のときは、募集をしても手を挙げる部門がなかなか増えませんでした。おそらく、1on1がどんなものなのかわからず、積極的になれなかった部門長もいたと思います。

このとき、背中を押すデータとして活用したのが、人事で実施した従業員アンケートの結果でした。「心理的安全性」を尋ねる質問を盛り込んでいたので、課題がありそうな部門に連絡し、1on1で改善できるかもしれないと期待感を持って伝えました。

――導入プロセスにおいて懸念していた点、工夫した点についてお聞かせください。

飯島:当初は、部下の中には「1on1で話した内容がどこでどのように使われるか分からない」という不安を抱く人もいるのではないかと懸念していました。1on1で打ち明けた内容が評価に直接影響するようでは、安心して話せませんよね。

油谷:そこで最初に研修を行い、ハンドブックを作った上で1on1をスタートしました。また、「ここで話した内容は他では話しません」「この内容を評価に使うことはありません」といった内容を確認する合意書を作り、1on1を実施する当事者同士で交わすようにしました。これによって、安心して話せる場づくりにつながったと思います。

――研修で重点を置いたポイントはどこにあるのでしょうか。

油谷:当社の社員は論理立てて物事を理解し、腹落ちしてから動き出す傾向があると感じています。それはコンサルタントらしいところでもありますね。そのため、「まずはやってみよう」だけでなく、正しいやり方を論理的に理解してもらうことに重点を置きました。

飯島:研修の段階から大きく変化した人も少なくありません。面談演習の参加前は「正直、仕方ないからやります」と顔にはっきり書いてある人もいるのですが(笑)、面談演習のロールプレイングを終えると、「これこそ自分にも部下にも必要だ」と考えが大きく変わる人が多かったです。優秀な上司ほど、指示命令型で部下を動かしがち。しかしロープレを行うことで、部下の言葉を傾聴しなくてはという意識が強まるようです。

油谷:私が印象に残っているのは、ロープレ後に「落としどころまで持っていけなかったのが反省点です」という感想が出されることです。1on1では、必ずしも上司が落としどころまで持っていく必要はないんですよね。部下の言葉に耳を傾けるだけでいい。そんな場もあるはずです。普段はコンサルタントとして課題を特定し、解決まで持っていくことが仕事なので、無意識にそうした思考の習慣がついているのかもしれません。

外部の知見を「自分たちの言葉で」伝えていく大切さ

――現在では事務局だけでなく、現場から選出した「1on1リーダー」もプログラムを手伝ってくれているそうですね。

飯島:ビジネスコーチ株式会社から他社事例を聞き、少数の事務局だけでなく、現場のキーパーソンを育てることも重要だと考えていました。そこで、モデル試行に参加した人の中から1on1リーダーを選抜してリーダー養成研修を受けてもらい、ロープレのファシリテーターを務めてもらっています。

油谷:現在は1on1の全社展開に向けて説明会を開いており、そこでは1on1リーダーに実体験として「やってみてどうだったか」の手応えを語ってもらっています。1on1リーダーが自分の言葉で意義を伝えてくれることで、事務局が働きかける以上に1on1の意義が伝わっていると感じます。

――研修では飯島さんが講師を務めているとのことですが、1on1文化を根付かせていくプロセスを内製化することには、どのような意義があるとお考えでしょうか。

飯島:外部の知見をいただくことはもちろん大切です。ただ、それをそのまま落とし込んでいくのではなく、自社に合わせて自分たちの言葉で伝えていくほうが、社員の腹落ち感が高まると思っています。

――1on1の導入によって見えてきた新たな課題はありますか。

飯島:「上司側の片想い」になってしまっているケースもあることです。残念ながら、直属の上司と1対1で話すことを好まない部下もいることが分かりました。上司は1on1で部下とじっくり話したいと思っていても、その思いが一方通行になっていることもあるのです。改まって上司と1対1で話すのは、これまで評価を伝える面談の場であることがほとんどでした。そのときの感覚を思い出してしまうのかもしれません。

油谷:最近では「別部署の上司と話したい」「複数の同僚と一緒に話したい」など、オプションを希望する人が増えていますね。こうした方式も希望に応じて取り入れることにしました。

飯島:ある意味、上司が試される時代になっているのかもしれません。私たちも、ただ「やってください」とお願いするだけでなく、必要なスキル習得の機会をしっかり用意し、上司をフォローしていきたいと考えています。

パシフィックコンサルタンツが挑む自律型組織への変革(前編)

※この記事は、ビジネスコーチ株式会社の事例紹介に掲載された記事を一部抜粋したものです。

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