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2020.07.01

アフターコロナ時代の変化の先を走り続け、都市とインフラの未来を考える

「アフターコロナの提言」

代表取締役社長 重永智之

 2020年7月、今年の折り返し地点になりましたが、この数か月で世界は大きく変わりました。
 弊社も、2月末から新型コロナウイルス感染症対策として在宅勤務を全従業員に拡大し、これをきっかけに新しいワークスタイルへとチャレンジしています。その間も、感染の不安と闘いながら、最前線で地域医療等の生活インフラの継続にご尽力いただいている皆さまには改めて感謝申し上げます。
 そして、都市・インフラに携わる専門家として、急速に変わりつつある社会・生活像を的確にとらえ、これからの都市・インフラのあるべき姿について、発信し、行動していきたいと考えています。

新しく生まれた価値観と共に、ゆるやかに、けれども確実に変わる国土構造

 この3か月ほどで急速にテレワークなどの新たなワークスタイルが定着し始め、「いつでも、どこでも、誰とでも」仕事ができる環境と価値観が生まれつつあります。通勤時間が余暇時間となり、家族とのコミュニケーションや趣味、地域活動など個々人の生活の豊かさにつながりはじめました。
 “どこに住んでも仕事はできるんだから、ぼくは、私は、〇〇ができる場所に住もう”と、これまでの経済性・効率性・利便性だけではない、居住地の選択につながり、3大都市圏に人口の約半分が集中している状況が変わっていくと考えています。自分の価値観に合う場所への移住が起こるなど、住環境が多様化し、それに合わせた形で国土の構造が変わってくるのではないでしょうか。

「職住融合・自立分散都市」へのシフトが加速化し、都市間の自律的なネットワークが強化

 大都市から離れることを選択した人々が住まう地方のまちはどうあるべきでしょうか?
 地方都市に暮らしたとしても、感染症のリスクはやってきます。そんなとき、歩いたり、自転車でいける距離に、生活に必要なスーパーや病院、学校、そしてリフレッシュできる公園や緑があることに、ありがたみを感じた人もたくさんいたと思います。いざというときには、地域から出なくてもある程度の豊かな生活が送れる、そんなまちの構造に、価値が見いだされる時代になりました。
 都市計画という観点からみると、これまでバラバラだった生活圏、商圏、医療圏、文化圏、通勤・通学圏などの圏域を再編成し、生活に必須なライフライン、公共施設やサービスを自地域でいかに提供できるか、といった目線でのまちづくりが求められていくということです。
 一方で全てのまちがこのようなサービスを地域内で供給できるかというと、相当難しいのも現実です。
 東京一極集中が是正されたとしても、人口減少・少子高齢化の大きなトレンドは変わりません。地方都市は高度経済成長期に整備された様々な社会インフラの維持コストもかさみ、更に今回のコロナ禍で行財政悪化は免れないのではないでしょうか。
 そうした状況では、エネルギー、交通、資源循環、上下水処理、デジタルを基本とした行政サービスなどを、複数の自治体が広域的に連携し、自律的なネットワークを強化して、最適化することで、新たなまちづくりに余力を振り向ける地域経営の視点が必ず必要になると考えています。

都市を形づくり、支えるインフラの、マルチユース化

 今回の新型コロナウイルス感染症では、ホテルを一時的に病院にするなど、建築物の使われ方に柔軟な対応が見られました。都市を支えるインフラにおいても、アフターコロナ時代の新しい生活様式に合わせて、これまでにない使い方へと変えていくこと、その動きを加速することが必要だと考えています。
 暫定的な規制緩和で、道路という通行のための空間において、三密回避のために飲食店などの利用を認めるなど、ニーズに応じたインフラの使い方の見直しが始まっています。地域で余暇の価値が高まる中、道路を公園化するなどの別用途への転換も進むでしょうし、逆にテレワークの進展で公園が皆さんのオフィスとしても利用できるような多目的化も起こるかもしれません。これまで地域の人と人との交流拠点であった公共施設の余剰空間を、今後増加する物流の拠点へと活用することも考えられます。こうしたインフラのマルチユース化には、様々な規制・基準の見直しも必要になりますが、我々もインフラを担う技術者として、知恵を絞っていきたいと考えています。
 インフラのマルチユース化によりインフラの価値を高めることができれば、PPP手法を活用して、インフラ資産や運営権を民間へ移し、対応が必要な他のインフラ整備・運営に資金を充当するなど、新たな好循環を生み出すことができるのではないかと考えています。

都市を下支えするスマートシティ展開(デジタルツイン)の実装加速

 コロナ禍の中、人々は電車の混雑を避けた移動や、まちの人出のチェックを行いました。これからは、人流予測により「“密”を避け、“移動”を最適化」する社会へと変わっていくでしょう。
 人の動きの変化に合わせて都市も最適化していく必要があります。IoT技術で得られた人流やエネルギーなどの様々なデータから、仮想空間(サイバー)で都市のあり方を検証して実空間へ反映させる、そんな新しい都市づくり(スマートシティ)が定着すると考えています。
 実際に都市を運営する際にも、自動化や遠隔マネジメントなどのデジタルトランスフォーメーション(DX)を官民一体となり一気に加速させるチャンスです。

“4つの力”を身につけた都市・地域経営へ

 アフターコロナ時代の都市は、これまで以上に「力」を付けなければいけないと感じています。
 ウイルスに負けない「都市の免疫力」。新たな感染症があらわれても、ウイルス把握のために常に下水処理の水質をチェックする仕組みや、人流データを使った“密”制御など、デジタル技術を駆使した力です。
 新たな生活様式に対応した「都市の順応力」。インフラのマルチユース化のように、これまでの常識を転換し、規制・制度を作り変えてでも、その時々のニーズに対応可能な順応力の高い都市づくりです。
 自粛生活で皆さん実感したでしょう。“本物(リアル)”を大切にし、その都市ならではの魅力を活かす「都市の独自力」。都市独自の文化や風景、魅力的な人や場は、バーチャルでは代替できない、まさに都市のアイデンティティであり、アフターコロナ時代だからこそ、大切にされるべきだと考えます。
 自然災害に負けない、感染症にも対応した「都市の耐力」。密を避ける避難所の準備など着々と進められていますが、これからは都市のDX化の進展とともに、個々人に最適な避難情報提供の仕組みも可能になります。災害に立ち向かう力は、都市づくりに携わる私たちも、一丸となって身につけるべき力だと感じています。

 新型コロナウイルス感染症は、今まで我々が経験したことのない災害と捉えることができ、世界を大きく変え、“戦争のようだ”とも表現されています。私たちパシフィックコンサルタンツは、1951年(昭和26年)に創業し、戦後の国土復興と共に歩んできました。2021年には創業70年を迎えますが、本当に大きな社会の変革期に立っていると感じています。
私たちは、今一度原点に立ち返り、都市・インフラに携わる専門家として、ポストコロナ時代に本当に必要なものは何か?都市・インフラはどうあるべきか、その姿を描き、発信し、行動し続けていきたいと考えます。

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