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2020.04.17

自転車ロードレースで培った責任感と集中力

「面白人に聞く!」

社会イノベーション事業本部 交通政策部 都市マネジメント室 栗栖 嵩

国を代表するサイクリングルートを計画

 交通政策部に在籍し、自転車の交通まちづくりに関する仕事を中心に担当しています。パシフィックコンサルタンツでは、過去20年の間に500件ほどの自転車関連業務を手掛けています。2000年頃までは放置自転車対策や事故を防ぐための自転車の通行空間整備などが中心でしたが、最近では国家戦略として、環境や防災、健康、そしてサイクルツーリズム(観光)などの観点から総合的に自転車の利用を促進する流れになっています。
 私が取り組んでいるのは、主にプランニング業務。自転車で走りやすい道や休憩場所などのハード対策から、自転車のルール・マナー向上や利活用に向けたソフト対策まで、自転車にとって安全・安心・快適なまちづくりに向けた最上流の計画づくりに携わっています。自分が携わった計画がもとになって、実際のサイクリングロードなどが整備されるのは、技術者としてうれしい瞬間です。
 直近では、国土交通省の「自転車通勤導入に関する手引き」や「『自転車通勤推進企業』宣言プロジェクト」づくりに携わりましたし、国を代表する「ナショナルサイクルルート」として日本で初めて認定されたルートのひとつ「つくば霞ヶ浦りんりんロード(茨城県)」には、その計画づくりから携わりました。

武器は観光も楽しむ自転車競技者としての「説得力」

 自転車の交通まちづくりの中でも特にサイクルツーリズムは、実際に自転車に親しんでいる立場からの視点が大事です。そこで役立つのが、大学時代から続けている観光サイクリングや自転車競技。学生時代から数えると、ほぼすべての都道府県を自転車で走りました。その経験は自分にとって貴重なデータベースとなっていて、地域に応じた課題解決の提案に活かされています。
 例えば、前述した「つくば霞ヶ浦りんりんロード」のプランニングでこだわったことのひとつは、その地域の環境に合わせた安全対策や誘導案内です。自転車の安全を考える上では、道の広さや高低差、見通しの良さだけでなく、車では気づけない路面の凹凸や段差など細かな点のほか、歩行者に対する安全性などにも配慮する必要があります。また、初めてその土地を走る人が道に迷わずに楽しめるようにするには、どんなデザインのサインが良いのか、伝え方は路面ペイントが良いのか、看板が良いのかなど、さまざまな要素を検討しなければなりません。そのため私はいつも、実際に現場を走ってデータベースと照らし合わせ、利用者目線で課題を把握するように努めています。
 また、利用者側が感じる自転車の楽しさと発注者側の要望には、微妙なギャップが存在することがあります。例えば、自転車で観光客を地域に呼び込みたいのに、自転車で走っても楽しくないコースになっていたり、初心者や女性には走り切れない距離のコースになっていたり。また、立ち寄ってもらいたい施設には、自転車に詰めない大きなお土産ばかり売られていたり。こうしたギャップに関する指摘や改善策の提案は、「説得力がある」と喜ばれ、これまで観光サイクリングも楽しんできた自転車競技者の目線から生み出せるものと自負しています。

自由闊達な風土のもと新規事業も創出

 自転車ロードレースは、社会人になってからも続けていて、私にとってはライフワークです。会社や同僚、そして家族の理解をいただきながら、これまで国内のプロレースに出場したり、この3年間はフランスやイタリア、ポーランドで行われたアマチュアの世界選手権に日本代表のひとりとして出場しました。レースに出場するためには日々の練習が欠かせず、4〜9月のレースシーズンにはトレーニングとして平日は毎日50kmほど、週末には100~120kmほど自転車に乗ります。パシフィックコンサルタンツには自転車通勤制度があり、通勤時間を活用してトレーニングできる環境にあるので、とても助かっています。
 ロードレースはとても厳しい競技です。少しでも気を緩めると転倒して大ケガをするかもしれないし、自分の転倒によってほかの人たちのケガにつながってしまうかもしれない。そこで培われた責任感と集中力は仕事にも活かされていますし、目標に向かって努力するモチベーションコントロールにも少なからず役立っていると感じています。
 自転車好きの上司とともに社内で提案して立ち上げた自転車ポータルサイト「TABIRIN」は、パシフィックコンサルタンツにとって異色のプロジェクトでした。これから公共事業が減少していく中で、コンサルティングにも今までとは違うビジネスの切り口が求められています。そんな流れもあって、将来性が評価されて通った企画です。このWEBサイトでは、これまでの当社の実績を活かして、国や自治体が推奨する全国のサイクリングマップやコースを集めて広く紹介するとともに、利用者目線のさまざまな情報を社員自らが執筆するなどして、楽しみながら発信しています。おかげさまで、国や自治体など従来のクライアントだけでなく、多方面から評価の声をいただいており、手ごたえを感じています。
パシフィックコンサルタンツには「自由闊達」な企業風土があり、社員が主体性を持って行うことに理解があります。私も自転車という趣味がここまで仕事につながるとは思っていませんでした。学生のみなさんも時間がある今のうちに自分の得意分野を磨いておけば、社会に出てから意外なところで花開くかもしれませんよ。

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