2017.11.17
海外からみたパシフィックコンサルタンツ
国際展開を強化する助っ人
概要
3500名を率いた 工兵指揮官の米軍時代
習得が欠かせない 北米流事業スタイル
国際展開に欠かせない世界標準の事業スタイルを導入するために来日
2016年6月。国際事業を強化するパシフィックコンサルタンツに強力な助っ人が現れた。Parsons Corporation(以下、Parsons社)から転職してきたディアス。米陸軍時代からの豊富なノウハウを注入するのがミッションだ。社内では「トニーさん」と呼ばれ親しまれる彼に、国際プロジェクト・マネジメントの経験を聞いた。
3500名を率いた 工兵指揮官の米軍時代
米軍指揮官として参加した米軍とインドネシア軍の共同演習。国連平和維持軍の配備実験をシミュレーターを使って指導。
アメリカの軍事大学の名門、ザ・シタデルを卒業後、陸軍に入隊。イラク戦争時、戦火のバグダードでは工兵隊を率い、石油・ガス・電気などのインフラ再建の任務についていたという。アフガニスタンではカブール郊外の米空軍基地建設に従事したこともある。軍隊OBらしく体格はいかついが、表情や言葉はあくまでも優しい。
「戦場の軍隊は上意下達の命令組織ですが、平時の工兵隊は違います。プロジェクトはつねに人と組織によって担われます。チームワークが重要なのは、軍隊であれ民間企業であれ根本は一緒。部下の意見に耳を傾け、チームワーク重視の指揮官が尊敬されるのも、民間企業と同じですよ」
3500名規模の戦闘工兵大隊の指揮官を最後に、30年にわたる軍隊生活をリタイアすると、その経験を活かし、Parsons社の運輸交通部門、Parsons Transportation Groupのハワイ支社で要職に就いた。アジア太平洋地区のディレクターとして、鉄道、橋梁、トンネル、空港、道路、港湾建設におけるPPP(公民連携)プロジェクトなどをマネジメント。日本企業や韓国企業がアメリカ標準の契約で事業を進められるようにするためのアドバイスも行った。
習得が欠かせない北米流事業スタイル
イラクのムサイブ発電所プロジェクト。JICAと連携し米軍のチーフ・エンジニアとして電力事情の復旧活動に携わった。
「北米の建設土木プロジェクトは、大手企業が設計・調達・建設を一括して請け負うEPC契約というのが基本。縦割りで別々に契約する日本の商慣行とはそこが大きく違います。日本企業も海外ビジネスを強化するためには、国際標準ともいえる北米スタイルに慣れなければなりません。そのノウハウをパシフィックコンサルタンツに伝えるのが私のミッションです」
国際事業本部の若手社員の教育も彼の担当だ。
「先日、国際事業本部の幹部社員が、日本の建設コンサルタントはこれまでのODA依存体質を脱し、自力で海外市場を攻めるべきだとプレゼンするのを聞いて、我が意を得ました。パシフィックコンサルタンツは経営層から若手まで、新しい変革の時代へ対応しようという意欲が旺盛。なかでも20~30代女性社員の海外ビジネスへの関心や語学力の高さには驚いています」
ただ、アメリカの建設土木関連企業ではエンジニアの22%が女性、Parsons社に至っては35%を占めるというのを聞いて、日本企業における女性活用はまだ途上だと気づく。
日本人の働き方で好きなところは、と聞くと、「ノミカイ!」と即答。終業後も、部下や同僚とのコミュニケーションを重視する元大佐の表情は、にわかに柔らかくなった。
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