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事業内容/実績次世代型NPMと公共資産マネジメント
弊社は、自治体の経営改革全体と連携した公共資産マネジメントの推進を提案しており、特定非営利活動法人 NPM推進ネットワーク 第8回定期フォーラムにおいてプレゼンテーションを行いました。
弊社のほかに、神奈川県秦野市における取組みの報告、公共資産マネジメントにおける公会計の役割など興味深い講演が行われました。公共施設マネジメントに対する関心の高さを反映して、首都圏の市 自治体職員の方を中心に、遠くは愛知県や新潟県内からも、総勢80名を越える参加者が集まり、会場は満席となりました。
基調講演「ポストモダン型公共サービスのデザイン」
講演:NPM推進ネットワーク代表(関東学院大学教授) 大住莊四郎氏
次世代型NPMとは何か、新しい公共サービスの価値をどのように生み出し、デザインすればよいのか
- 価値観が多様化した時代に対応していくため、公共サービスを提供する仕組みに関し、目標をトップダウンで設定し成果主義により管理する「モダニズム型」から、サイレントマジョリティの多様なニーズを把握し、多様なステイクホルダーの参加・協働により主体性・創造性に基づく行動を引き出す「ポストモダン型」に転換する必要性について講演されました。
- 特にこれからの公共サービス設計では、これまで強調されてきた「顧客としての住民」と「市場メカニズムの活用」だけではなく、「ステイクホルダーとしての住民」と「協働型システムの活用」の視点も考慮することが重要とのことでした。
プレゼンテーション1「次世代型NPMにおける公共資産マネジメントと経済成長戦略」
講演:パシフィックコンサルタンツ株式会社 大石健二
多くの自治体が「将来にわたり施設を全て保有できるか?」といった問題意識を漠然と持っているが、どれだけ問題なのか情報不足のまま、放置し、各種取り組みを負担感等から敬遠している。それは問題を先送りしているだけ。
上記はある自治体事例です。パシフィックコンサルタンツ㈱は、施設更新による将来負担を把握する、簡易な「公共施設問診サービス」を提供することで、問題の大きさ・ターゲットを明示し、取組みの第一歩を支援します。
一方、施設白書を作成し施設の数量や利用状況を把握しても、中長期の財政計画や資産管理計画につなげられていないのが実態と認識している。
公共資産マネジメントに向け、公会計基準モデルへの移行が求められる機会を捉えて、整備年や数量等物理量に加え、施設評価(必要性、効率性等)データも含め、資産台帳を段階的に整備することを提案したい。さらに、・・・・・・
施設白書は現状把握。施設の再編・再配置、アセットマネジメント(運営効率化、長期利活用等)、最適事業手法など、各自治体の持つ課題に応じた解決策を検討しなければ、何もはじまらない。
公共サービスの多くが公共施設を通じて提供されている。公共資産マネジメントを、総合計画/人員組織計画/財政計画と連携させることにより、公共サービスの実現性・実効性を担保すべき。
公共サービスの効率化を追求するためには、官民競争、民間活用の視点が不可欠であり、官民で共通のものさしとなる「フルコスト」把握が重要になる。
プレゼンテーション2「秦野市における公共施設白書と公共施設再配置計画」
講演:秦野市 企画総務部 公共施設再配置計画担当 主幹 志村高史氏
秦野市における取組みや実施上の課題について講演されました。
秦野市公共施設白書の特徴
業者に頼らず職員自らが作成。画一的ではない秦野市独自の視点での現状分析と課題を抽出できたと自負
秦野市にとって公共施設白書とは何だったか
- 公共施設白書は、役所の誰もが漠然と気づいていた様々な問題を白日の下にさらけ出す「パンドラの箱」。
- 嫌なものばかり出てくるが、最後に出てくる「希望」をかなえることができるのが、公共施設の再配置
なぜ公共施設の再配置が必要になるのか
- 生産年齢人口が減り続ける中で、施設をそのまま持ち続けるのか?(右上図)
- すべてのハコモノを維持しようとすれば膨大な更新費用が発生し、新たに必要となる財源は346億円と試算。
- すべてのハコモノを維持しようと財源を市債発行で賄うとすれば、起債許可団体の基準に限りなく近づき、市は財政破綻の道へ・・(右下図)
- ハコモノが抑制される中でも、増え続ける道路と下水道
- 結論を先送りすることは、次世代に大きな負担を押し付けること。
- 公共施設の更新問題は、自治体財政が抱える時限バクダン!
施設再配置の方針
- 施設の機能(ハコではない)に優先順位をつける。
- 施設の更新に際しては、できる限り機能を維持する方策を講じながら面積を大幅に圧縮する。
- 今後40年かけて更新面積の3割を削減することを数値目標として決定し市民にも公表している。
- 圧縮した施設の跡地は賃貸、売却によって優先する施設整備のために充てる
他自治体へのメッセージ
- 日本全国の自治体が同じような状況であるはず。秦野市は早く検討を始めたので、ここまで進むことができた。
- 次世代に負担を押し付けないために、更新の時限バクダンが爆発する前に、対策の検討を始めるべき
- 詳しくは、秦野市HPを。
※NHKテレビ番組「特報首都圏」で秦野市の取組みが紹介されました。
質疑応答
秦野市において、職員で検討を進め、市民に積極的に情報発信を行っている点に関心が集まりました。
秦野市における検討体制等
- 行革の一環として着手したが、テーマが大きいことから専任の担当(2名)を置いた。今後、課に昇格する予定。
- 学識者等からなる検討委員会(8名)を設置。[なお、パシフィックコンサルタンツ(株)行政マネジメント部 塩原が委嘱を受け委員を務めています]検討委員会の指導を受けながら職員が分析、再配置検討等を実施。
- 市民に対しては、出前講座により声がかかればどこでも説明に行く。
プレゼンテーション3「公共資産マネジメントと公会計」
講演:新日本監査法人 公認会計士 児玉卓也氏
- 公共資産マネジメントにおける台帳整備の重要性と公会計の活用方法について講演されました。
- 特に、公会計の活用方法として、減価償却を実施することにより、減価償却費/未償却残高から、過去/将来の行政コストを把握できる、償却累計額から現状の行政サービスを保持するための必要投資額を把握できることを示されました。
- さらに、将来の必要投資額の手当てが重要であり、私学等で行っている償却累計額相当の基金を積み立てるという対応は、自治体においては資金効率の観点から難しいが、資金計画として必要額を把握しておくべきと述べられました。