事業紹介デジタルラジオによる実証実験

デジタル放送を活用した防災情報

防災情報の配信に威力を発揮するデジタルラジオ

デジタルラジオ

大容量データ放送が可能な次世代メディアとして注目されるデジタルラジオ。このデジタルラジオを使った防災情報データ配信の実験放送が2007年1月17日(防災とボランティアの日)に行われた。
「デジタルラジオニュービジネスフォーラム」で弊社がリーダーを務める「防災情報データ配信ワーキンググループ」が進めてきた、事業開発研究成果の実証実験である。

当日は、東京で大地震が発生したとの想定で、音声・文字・映像をフルに活用した緊急速報が送り出された。
地震の概要、伝言ダイヤル、ライフライン状況、交通状況、23区ごとの指定非難場所・水や食料の配布所・医療施設などの情報に加え、心肺蘇生法の映像や帰宅支援マップなどをダウンロードできるようにした。
災害情報は大勢の人へ一斉にリアルタイムで届かなければならない。現状で利用されているインフラの1つにインターネットがあるが、緊急時にはアクセス集中による遅延や通信網の寸断などが起こりやすく、システムとしては脆弱だ。そこでデジタルラジオの可能性が浮上してきた、と高原は話す。
「放送技術的には地上波デジタルテレビのワンセグとほぼ同じですが、データ放送に利用できる帯域(領域)がワンセグに比べて大きく、いざというとき、画像や文字などによるわかりやすい情報の提供が可能です。
放送メディアなので回線パニックを起こさず緊急時にも機能する。双方向型のデータ放送によりエリア別情報を聴視者が取捨選択できる。多言語対応も可能など、防災情報メディアとしてデジタルラジオの可能性は大きい。
今のところ、(社)デジタルラジオ推進協会が免許を取得して実施している実用化試験放送の中で、正会員であるエフエム東京が、8セグメントの帯域のうち3セグメントを確保し、2006年12月1日から本格的なサービスを開始している(したがって「3セグデジタルラジオ」とも呼ばれている)。エフエム東京が主催する先のフォーラムでは、自動車や総合電機機器など約90社が各々ワーキンググループをつくって、データ放送部分を使った新規ビジネスの開発を模索中。弊社としては、まず手始めに、都市機能の向上に資する危機管理の観点から、防災情報の配信に焦点を当てて、この新しいメディアの可能性を最大限に活用するビジネスモデルを探っていくというわけだ。

端末の普及をにらみ、日常的なコンテンツ提供も視野に入れて

デジタルラジオ放送を利用した防災情報コンテンツ

デジタルラジオを受信できる端末は、まだその時点では携帯電話(au)が6機種、パソコン用ワンセグチューナー3機種、法人向け試作機1機種しかない。端末の普及、とりわけ携帯電話にどれだけ搭載されるかにかかっているのだ。
「周波数帯が確定されて、本免許への道筋が明確になった時点で、各キャリアが端末にチップを入れる動きに弾みがつく」と高原は予測する。現状は本放送開始待ちの段階だが、データを加工するBML言語はワンセグと共通なので汎用性は高く、コンテンツ開発・運用のノウハウを蓄積しておく必要がある。
と同時に、新しいメディアの普及には魅力的なコンテンツが欠かせない。

緊急地震速報コンテンツイメージ
緊急地震速報コンテンツイメージ

玉木はその点を強調して、「これまで弊社は、河川の堤防や海岸の防波堤、砂防ダムなどハード面での社会資本整備によって防災に役立ってきた。その流れの中で防災ソフトの開発は親和性が高い。しかし防災情報は常に欲しい情報かというとそうではないから、日常的な情報を含めたコンテンツ提供まで視野に入れたビジネスモデルを組み立てる必要があります」と指摘する。
その芽となりそうなのが、実際に営業展開している「地域限定ワンセグ」の取り組みだ。たとえば「道の駅」や高速道路のサービスエリアなどを拠点に、その地域に限定された物産情報、観光情報などを携帯サイトに流し続けながら、そこにエリアの防災情報も織り交ぜていく。3セグデジタルラジオ放送は次世代メディアとして可能性の高い選択肢の1つだが、現在あるシステムを利用した地道な試みから間口を広げていく戦略も重要だ。

Webカメラによる監視システムなどノウハウの蓄積が強みに

都市インフラの安全管理システムの計画・設計では、すでに実績がある。「官公庁や自治体など河川管理者の事務所向けに、CCTVカメラを使った水位情報や雨量情報を提供するシステムの開発・運用を行っています。今はインターネットですが、デジタルラジオのような放送媒体に載せれば、災害が起きた緊急時にリアルタイムの情報発信が可能になる」と玉木は抱負を語る。
建設現場におけるWebカメラ監視システムも防災情報提供の基盤になるだろう。2007年問題などで現場の経験者が減ることから生まれたニーズだ。担当者が現地で立ち会い検査をする代わりに、Webカメラによって作業終了時の資機材の配置や仕掛かり状態の安全確認を行う。手抜き工事に対する抑止効果もある。
このように、防災情報コンテンツの提供は既存の開発システムとのシナジー効果が期待できる。「建設事業にITソリューションを当てはめて、社会リスクのマネジメントやコストダウンに役立つことができれば」と玉木は情報事業本部の位置づけを語る。

「公助」から「共助」の時代への橋渡し役を

玉木 宏忠

防災の現場で近年よく指摘されるのは、「公助」「共助」「自助」のバランスだ。
多くの人が災害時には役所が助けてくれるもの、と思い込んでいる。広報車が回ってアナウンスしたら避難すればよい・・・。しかし、そうした人任せの態度ではなく、地域を基盤とした助け合いが多くの人命を救うことは、阪神・淡路大震災でも教訓の1つとなった。身体の不自由な方々の住まいを把握している自治会単位で住民同士がともに助け合う。何から何まで官を頼りにするのではなく、自分たちでやれることは自分たちでやる。
こうした意識の高まりに歩調を合わせることが重要と話す玉木は、「自治会単位で地域の防災情報を流せれば、それが輪になって、正確な情報をリアルタイムに発信できる」との可能性を示唆する。
公共事業の縮小が進む中、社会インフラの構築においてもハードからソフトへのシフトが課題だ。これまでのノウハウを基盤に防災情報の発信を目指す取り組みは、新事業の1つの柱として、大きな期待が寄せられている。

総合建設コンサルタントのパイオニアとして国内外で豊富な実績を持つ弊社が、
最新情報に基づき、発注ご担当者さまの疑問、ご質問に広くお答えいたします。

関連するサービス