1999

つくばエクスプレス線設計

1999年 つくばエクスプレス線設計

研究・技術の牙城筑波学園都市に新交通インフラを

秋葉原―つくば間を、45分で結ぶ列車

つくばエクスプレスは、東京都千代田区の秋葉原駅と茨城県つくば市のつくば駅とを結ぶ、首都圏新都市鉄道の鉄道路線です。最高時速130km、通常時速125kmで運行され、秋葉原―つくば間58.3kmを、最短45分でつなぎます。開業したのは2005年8月24日。以降、沿線では土地の区画整理事業、戸建住宅・マンションの建設が急ピッチで進められ、乗客数は年々増加してきました。「ららぽーと」などの大型商業施設の誘致も盛んで、沿線地域の活性化が飛躍的に拡大しています。

筑波学園都市に向けて、設計を開始

筑波学園都市には、昔から各機関の研究施設が数多く存在します。しかし、それらへの交通手段は、都心からは高速バスかマイカー、首都圏東北部からは常磐線がメインで利便性が悪く、また慢性的に混雑するなど、新たな交通手段の必要性が叫ばれていました。それに対応するために計画されたのが、つくばエクスプレスです。
初めて構想が練られたのは1978年。「第二常磐線」という位置づけでした。その後「常磐新線の新設」案が浮上し、以降紆余曲折を経て1990年に第三セクターの手による「首都圏新都市鉄道」プロジェクトがスタートしました。その設計を行ったのがパシフィックコンサルタンツ。1999年のことでした。

通勤路線だけでなく観光客輸送のメインルートとして

構想スタート時に候補に上がったルートは、都心から北千住、柏市北部、取手を経て筑波研究学園都市へ至るルートや、取手の替わりに守谷を通るコースなど数種類。また茨城県高岡市柿岡にある気象庁地磁気観測所への影響に配慮した電化方式を考慮するなど、留意する点は数多くありました。
計画はそれら全てを詳細に検討しながら進められ、現在の"秋葉原から北千住を通り、南流山、守谷、みどりの、に抜けるルート"に決定。秋葉原から南千住-北千住間のトンネル坑口までは剛体架線式で、そこから終点つくばまではカテナリー吊架式を採用すること、全線を高架・掘割・地下で建設して踏切を作らないこと、交流と直流双方の電化方式を採用することなどが決められました。
現在、つくばエクスプレスは、筑波学園都市へ通勤路線としてだけでなく、東京、千葉、埼玉方面から筑波山への観光客輸送の主要ルートとしても大活躍しています。

プラス1

その時、時代は!

2005年の10月開業予定だったつくばエクスプレスが実際に開業したのは、同年8月のこと。2ヵ月早まったのは、地元の強い要望と、学校の2学期に間に合うようにとの配慮からだった。それだけ地域に根付いた路線だったことがうかがえる。また開業前、研究学園駅の建設予定地に日本自動車研究所の敷地が選ばれた。同研究所はそれを快く受け入れ、研究施設だけを残して自動車のテストコースを移転。そのおかげで、研究学園駅周辺には、ショッピングモールやつくば市役所などがあわせて立地できた。
開業時(初年度)の乗客数は、およそ3,469万人。営業収益は140億円で、予測の90億円を大幅に超えた。
なお「つくばエクスプレス」という名前は、一般募集や街頭モニター調査の結果等を参考に決定された。