1998

首都高速道路交通管制システム調査

首都高速道路交通管制システム調査

数々生まれる新技術を統合し、交通情報のテクノロジーに専門性

安全、円滑、快適を目的としたシステム

1995年1月17日、午前5時46分52秒、兵庫県南部を中心にマグニチュード7.3、震度7の大地震が発生しました。被害は兵庫県南東部、東播磨地方中南部、姫路市、大阪府豊中市を中心に近畿圏広域に及び、その状況は国内のみならず世界中に衝撃を与えました。世に言う阪神・淡路大震災です。
被害は想像を絶するものでしたが、特に阪神高速道路3号神戸線の倒壊は、震災の凄まじさを物語るものでした。その様子は世界中の新聞の一面に掲載され、大きなインパクトを与えたのでした。

求められた、すべてを統合する技術

1日およそ12万台の車が通行する首都高速道路。ドライバーの安全で円滑、快適なドライブを確保しているのが、道路交通管制システムです。交通量を監視して渋滞を的確に把握し、その情報を様々なメディアに提供する「交通管制システム」と、照明設備やトンネル内の換気設備を監視・制御する「施設管制システム」の2つで構成されています。
そこで首都高速道路公団では、1997年に首都高速交通管制システムを統括する「総合監理システム」の導入を行います。そして、そのシステム調査を担当したのがパシフィックコンサルタンツでした。

望まれる解決策のために発揮された技術と経験

総合監理システムは、首都高速道路の情報や関係機関からのデータを一元管理し、交通状況予測を利用してドライバーに有益なデータを提供するというもの。超音波車両感知器やテレビカメラによって収集されたデータが管制室に集められ、コンピュータで高速処理されます。そして渋滞、事故、故障車発生といった交通状況が判断され、必要とするところにその情報が送信されるのです。
首都高速道路上の異常事態を即座に把握するのはもちろん、正確な情報をリアルタイムで配信することが可能な総合監理システムは、走行時間短縮による時間的メリット、スムーズな走行での燃費改善による経済的メリット、CO2削減による環境への負担軽減などを実現します。最適システムの構築・導入に向けて発揮されたパシフィックコンサルタンツの技術や経験、ノウハウは、産業や人々の生活に欠かすことの出来ない首都高速道路という東京都市圏の大動脈の中に、しっかりと息づいています。

プラス1

その時、時代は!

当時、ドライバーに情報が提供されていた媒体は、各種情報版、ハイウェイラジオ、自動応答電話、情報ターミナル、VICS搭載のカーナビ、入路規制標識など。また道路管理者には、グラフィックパネルやオペレータコンソール、CCTVモニターや機器故障表示端末などと様々。技術の高度化に伴い、それら情報内容の整合性が問われていた。それに対応するために導入された総合監理システムは、中央処理装置で情報を一元的に作成することでその問題を解決。あわせて将来のロジック改修なども効率的に行える環境を生み出した。
新システムが導入された時、首都高速道路公団の代表は「お客様の安全確保が第一、安全には上限がありません」と挨拶し、その稼動に大きな期待を寄せた。またその実力は、日本国内だけでなく世界各国からも注目を集めた。